矩形配列

RA アルゴリズムは、瞳を通る光線のグリッドを追跡します。RA アルゴリズムの利点は、評価関数にビネッティングの効果を正確に考慮できることにあります。これは、問題のある光線を意図的に遮蔽する遮蔽型望遠鏡やカメラ レンズなどの光学系で効果的です。RA アルゴリズムの欠点は、速度と正確性に劣ることです。必要とする正確性を得るには、GQ アルゴリズムよりも多くの光線を追跡する必要があります。結論として、面アパチャーを使用している場合を除き、RA は使用しないようにします。

RA アルゴリズムでは、グリッドのサイズと [ビネット光線の削除] (Delete Vignetted) オプションを指定する必要があります。

[グリッド] (Grid) 使用する光線の数を指定します。グリッド サイズとして、4 × 4 (波長あたりの視野あたり 16 本の光線)、6 × 6 (波長あたりの視野あたり 36 本の光線) などを使用できます。グリッド上の光線のうち、入射瞳の外側に到達するものは自動的に省略されるので、実際に使用される光線の本数は、グリッド サイズの二乗よりも少なくなります。大きいグリッド サイズを選択すると、実行が遅くなりますが、より正確な結果が得られます。なお、高いグリッド密度を選択してから、次で説明する [ビネット光線の削除] (Delete Vignetted) チェックボックスを選択することで利点が得られることもあります。これは、高いグリッド密度によって瞳が光線で満たされるので、ビネッティングされるオペランドが削除されるからです。その結果、光学系のアパチャーを正確に反映する妥当な本数の光線数となります。

[ビネット光線の削除] (Delete Vignetted) 選択すると、評価関数に記述されている各光線が光学系全体で追跡されますが、面アパチャーでビネッティングされる光線、どの面にも到達しない光線、いずれかの面で全反射する光線は評価関数から除外されます。これにより、評価関数の光線総数を最小限とすることができます。この場合は、設計の最適化に伴ってビネッティングが変化すると、評価関数の再生成が必要になることが欠点です。可能であれば、ビネッティングされる光線を削除するのではなく、ビネッティング ファクタを指定して GQ アルゴリズムを使用することをお勧めします。最適化の際に評価関数で SVIG オペランドを使用すれば、必要に応じてビネッティング ファクタを調整できます。

OpticStudio は、光線がビネッティングされるかどうかに関係なく、評価関数で定義されているあらゆる光線の追跡を試みます。たとえば、REAY を使用して主光線の高さをターゲット値として設定していて、主光線に対する中央遮蔽がある場合でも、OpticStudio では、この光線が追跡可能である限り追跡し、このオペランドの結果を使用します。定義されている光線がビネッティングされるかどうかの確認は、最適化の際に大きなオーバーヘッドを伴うので、OpticStudio ではこの確認作業を実行しません。

一般的には面アパチャーによる光線のビネッティングを避け、可能であればビネッティング ファクタを使用してビーム サイズの形状を指定します。ビネッティングされない光線の比率を最適化するには、マクロを定義して必要な計算を実行する必要があります。なお、この方法には最適化処理が遅くなり、停止したような状態になりやすいという欠点があります。これは、レンズのパラメータのわずかな変化によって、ビネッティングされていた光線が突然ビネッティングされていない状態になるために、評価関数に不連続な変化が発生するからです。

次へ :