最適化の概要

OpticStudio に用意されている高機能なローカル最適化 (単に「最適化」) 機能はきわめて高性能であり、適切な開始点と変数パラメータ群を指定することでレンズ設計の向上を実現できます。この変数として、曲率、厚みガラス、コーニック、パラメータ データ、追加データ、マルチ コンフィグレーションの任意の数値データなどがあります。OpticStudio では、アクティブな DLS アルゴリズムまたは OD アルゴリズムのいずれかを使用します。これらのアルゴリズムでは、重み付けしたターゲット値で構成した評価関数を最適化できます。これらの目標値は「オペランド」と呼ばれます。いくつかのデフォルトの評価関数が用意されていますが、これらについては以降のセクションで説明します。これらの評価関数は、メリット ファンクション エディタを使用して簡単に変更できます。この手順の詳細については「評価関数の変更」を参照してください。

最適化では、追跡可能で妥当な光学系の作成、変数の指定、評価関数の作成の 3 つの手順が必要です。妥当な光学系とは、やや曖昧な概念ですが、検討が不十分な設計は (例外はあるものの) 最適化アルゴリズムを使用しても優れた設計には転換できないことを意味します。最適化アルゴリズムを実行するためには、変数が 1 つ以上必要です。次の節で説明しているように、変数はさまざまなエディタで指定します。

この章で取り上げている最適化機能で使用しているアルゴリズムは、指定した評価関数がローカルで最小値になる条件を演算することを目的としています。なお、OpticStudio には評価関数がグローバルで最小値になる条件を演算する機能も用意されています。グローバルな最小値は、その評価関数で実現可能な最小値であり、評価関数を適切に選択していれば、目的の問題に対する可能最適な解となります。グローバル最適化機能は初心者向けの機能ではなく、対話型設計には適していません。詳細については「グローバル最適化」を参照してください。

サイクル数と光学系の数について

最適化を実行しているとき、「光学系の数」はグローバル最適化のダイアログ ([グローバル最適化] (Global Search) と [ハンマー] (Hammer)) にのみ表示されますが、「サイクル数」はローカル最適化とグローバル最適化の両方でダイアログに表示されます。この理由は、光学系の数は、解空間のどの程度の範囲をグローバル最適化で扱うかを示す尺度であるからです (この尺度がないと最適化が無限に続くことになります)。ローカル最適化のパフォーマンスを解析するうえで意味のある数値ではありません。光学系の数が増分 1 で大きくなった場合は、指定した変数の 1 つの組み合わせについて評価関数の計算が完了したことを示しているにすぎません。サイクル数が増分 1 で大きくなった場合は、複数の光学系について評価関数の評価が完了し、解空間で評価関数のローカル最小値が得られる方向が見つかったことを示しています。1 つのサイクルに存在する光学系評価の数は変数の数に関連しています。定義した変数の数が多いほど、多くの光学系を最適化の各サイクルで扱う必要があり、最適化に要する時間は当然長くなります。

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