複合レンズ
複合レンズ オブジェクトは、前と後のフェイスにさまざまな面やアパチャーを定義できるきわめて一般的なレンズ オブジェクトです。円形アパチャーおよび矩形アパチャーの両方に対応しています。円形アパチャーに対しては、チップ ゾーンと機械的平坦ゾーンを定義できます。
複合レンズ オブジェクトは、親となる 2 つの面オブジェクトで構成します。親の面オブジェクトとして、標準面、非球面、Q タイプ非球面、トロイダル面、トロイダル奇数次非球面、ゼルニケ面、バイコーニック面、バイコーニック ゼルニケ面、拡張多項式面、グリッド サグ面などを使用できます。
複合レンズ オブジェクトが持つ 7 つのフェイス
0 : サイドのフェイス : レンズの側面。アパチャーの形状が円形で、そのサイズが前面と後面で異なる場合、2 つのアパチャーを接続するエッジはテーパー形状になります。矩形アパチャーでは、テーパー形状のエッジを使用できません。
1 : 前のフェイス : 前面のクリア アパチャー。
2 : 後のフェイス : 後面のクリア アパチャー。
3 : 前のチップ ゾーン : 前面のチップ ゾーン。詳細は、「[チップ ゾーン] (Chip Zone)」を参照してください。
4 : 前の平面 : 前面の機械的平坦ゾーン。詳細は、「[機械的半径] (Mechanical Semi Diameter)」を参照してください。矩形形状のアパチャーでは、このフェイスはサポートされていません。
5 : 後のチップ ゾーン : 後面のチップ ゾーン。
6 : 後の平面 : 後面の機械的平坦ゾーン。矩形形状のアパチャーでは、このフェイスはサポートされていません。
境界 (半径) と有効性に関するコメント
複合レンズでは、そのパラメータの有効性を厳密に検証する必要があります。具体的には各種半径の有効性を検証します。
面が回転対称ではない場合、その面には機械的平坦ゾーンを適用できません。
前面または後面が回転対称ではない場合、その面にはテーパー形状のエッジを適用できません。
複合レンズ オブジェクトでは、アパチャーが円形で ([矩形?] (Is Rectangular) = 0)、前と後のフェイスの面が回転対称である場合に、テーパー形状のエッジを使用できます。現在サポートされている面タイプは標準面と非球面です。
可能な限り簡潔な検証ルールにするために、エディタの列の左から右の順にすべてのパラメータが検証されます。
たとえば、「前のクリア半径」を検証すると、続いて「前のクリア半径」 + 「前のチップ半径」と「前のエッジ半径」の各パラメータが検証され、「前のクリア半径」 + 「前のチップ半径」を検証すると、続いて「前のエッジ半径」と「後の半径」のすべてのパラメータが検証されます。
親オブジェクトの 1 つとしてグリッド サグ面オブジェクトを使用する場合についてのコメント
複合レンズの親オブジェクトの 1 つがグリッド サグ面オブジェクトの場合、複合レンズのアパチャーのサイズは、グリッド ファイルのサイズを超えないように自動的にスケーリングされます。
CAD エクスポートの制限事項
複合レンズ オブジェクトを CAD オブジェクトとしてエクスポートする場合は、いくつかの制限事項があります。CAD データ交換についての詳細は、「[CAD ファイル] (CAD Files)」を参照してください。これらの制限事項を以下に示します。
- チップ ゾーンと機械的平坦ゾーンのいずれも CAD エクスポートできません。これらのゾーンは前後のフェイスと結合されます。
- 機械的平坦ゾーンを持つ円形アパチャーを定義するには、前後のフェイスのエッジ半径にそのチップ半径よりも大きな値を設定します。得られる平坦ゾーンは、均一にサンプリングしたスプライン曲線でモデル化されます。極端な形状の場合、チップ ゾーンから機械的平坦ゾーンへの移行をスプライン曲線で正確に表現できない場合があります。その場合、シェーデッド モデルおよびすべての形式のエクスポート CAD ファイルに、何らかの誤ったアーチファクトが発生します。
ブール オブジェクトで使用する場合の制限事項
ブール CAD オブジェクトまたはブール ネイティブ オブジェクトの親オブジェクトとして複合レンズ オブジェクトを使用する場合は、いくつかの制限事項があります。これらの使用例についての詳細は、「[CAD ファイル] (CAD Files)」および「ブール CAD」を参照してください。これらの制限事項を以下に示します。
- ブール CAD オブジェクトの親オブジェクトの 1 つとして複合レンズ オブジェクトを使用する場合、チップ ゾーンと機械的平坦ゾーンに互いに異なるコーティングと散乱のプロパティを設定することはできません。これらのプロパティについての詳細は、「[コーティング/散乱] (Coat/Scatter)」を参照してください。注 : この制限事項は、ブール ネイティブ オブジェクトには適用されません。ブール ネイティブ オブジェクトでは、チップ ゾーンと機械的平坦ゾーンそれぞれのコーティングと散乱のプロパティが保持されます。
- ブール CAD オブジェクトまたはブール ネイティブ オブジェクトの親オブジェクトの 1 つとして複合レンズ オブジェクトを使用すると、オブジェクト ビューアにはチップ ゾーンと機械的平坦ゾーンのコーティングと散乱のプロパティが表示されません。注 : なお、ブール ネイティブ オブジェクトでは、チップ ゾーンと機械的平坦ゾーンのコーティングと散乱のプロパティが光線で正確に考慮されます。
複合レンズ オブジェクトの定義には、次のパラメータを使用します。
パラメータ番号 | 説明 | フェイス名 | フェイス番号 |
1 ~ 2 | 前面/後面番号 : 前面および後面として使用する親オブジェクトの番号。ノンシーケンシャル コンポーネント エディタでは、複合レンズ オブジェクトよりも前にその親オブジェクトを記述する必要があります。 | すべてのフェイス | すべてのフェイス |
3 | 厚み : 複合レンズの中央厚み。 | サイド | 0 |
4 | [矩形?] (Is Rectangular?) : 複合レンズのアパチャー形状が円形であるか矩形であるかを示すフラグ。円形の場合は 0、矩形の場合は 1 を使用します。 | サイド | 0 |
#4 より後のパラメータは、[矩形?] (Is Rectangular?) フラグ (パラメータ #4) の設定に応じて異なります。
アパチャー形状が円形 ([矩形?] (Is Rectangular?) が 0) の場合、パラメータは次のとおりです。
パラメータ番号 | 説明 | フェイス名 | フェイス番号 |
5 | 前のクリア半径 : 前のフェイスのアパチャーのクリア半径。 | 前のフェイス、前のチップ ゾーン | 1、3 |
6 | 前のチップ半径 : 前のフェイスのチップ ゾーンの半径。このパラメータには、前のクリア半径以上の値を設定する必要があります。 | 前のチップ ゾーン、前の平面 | 3、4 |
7 | 前のエッジ半径 : 前のフェイスの機械的平坦ゾーンの半径。このパラメータには、前のチップ半径以上の値を設定する必要があります。 | 前の平面 | 4 |
8 | 後のクリア半径 : 後のフェイスのアパチャーのクリア半径。 | 後のフェイス、後のチップ ゾーン | 2、5 |
9 | 後のチップ半径 : 後のフェイスのチップ ゾーンの半径。このパラメータには、後のチップ半径以上の値を設定する必要があります。 | 後のチップ ゾーン、後の平面 | 5、6 |
10 | 後のエッジ半径 : 後のフェイスの機械的平坦ゾーンの半径。このパラメータには、後のチップ半径以上の値を設定する必要があります。 | 後の平面 | 6 |
11 ~ 14 | 使用されません。 | 該当なし | 該当なし |
15 | [ミラー空間?] (Mirror Space?) : レンズをミラー空間で定義するかどうかを示すフラグ。このフラグが 1 の場合、各レンズはローカル z 軸の負方向に順次配置されます。これは、シーケンシャル モードで奇数枚のミラーの後に定義するレンズと同じ状況です。このフラグは、シーケンシャル モードからノンシーケンシャル モードに変換するときに使用します。通常は、ユーザーが手動で定義したオブジェクトに使用する必要はありません。 | 該当なし | 該当なし |
アパチャー形状が矩形 ([矩形?] (Is Rectangular?) が 1) の場合、パラメータは次のとおりです。
パラメータ番号 | 説明 | フェイス名 | フェイス番号 |
5 ~ 6 | 半幅 X/Y : レンズの中心から最も外側のエッジまでの x 方向半幅と y 方向半幅。矩形アパチャーではテーパー形状のエッジを使用できないので、この設定は前と後のフェイスの両方に適用されます。 | 前の平面、後の平面 | 3、5 |
7 ~ 8 | 前の X 方向と Y 方向のクリア半幅 : 前のフェイスのレンズ中心からのチップ ゾーン半幅。このパラメータには、X 方向半幅と Y 方向半幅以下の値を設定する必要があります。 | 前のフェイス、前のチップ ゾーン | 1、3 |
9 ~ 10 | 使用されません。 | ||
11 ~ 12 | 後の X 方向と Y 方向のクリア半幅 : 後のフェイスのレンズ中心からのチップ ゾーン半幅。このパラメータには、X 方向半幅と Y 方向半幅以下の値を設定する必要があります。 | 後のフェイス、前のチップ ゾーン | 2、5 |
13 ~ 14 | 使用されません。 | 該当なし | 該当なし |
15 | [ミラー空間?] (Mirror Space?) : レンズをミラー空間で定義するかどうかを示すフラグ。このフラグが 1 の場合、各レンズはローカル z 軸の負方向に順次配置されます。これは、シーケンシャル モードで奇数枚のミラーの後に定義するレンズと同じ状況です。 | 該当なし | 該当なし |
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