[コーティング/散乱] (Coat/Scatter)
オブジェクトのコーティングおよび散乱のオプションは、[オブジェクト プロパティ] (Object Properties) ウィンドウの [コーティング/散乱] (Coat/Scatter) セクションで設定します。[オブジェクト プロパティ] (Object Properties) ウィンドウにアクセスするには、NSC エディタ上部の [オブジェクト プロパティ] (Object Properties) バーにある下矢印をクリックします。

[コーティング/散乱] (Coat/Scatter) セクションでは、次のコントロールを使用できます。
[フェイス] (Face) : プロパティを適用するフェイス。インポート CAD オブジェクトについては、「[オブジェクト プロパティ] (Object Properties)」の「[CAD] (CAD)」セクションを参照してください。 フェイスとは、オブジェクト上で同じ光学的特性を適用する 1 つまたは複数の面の集合です。たとえば、一枚レンズには、前、後、その他すべて (エッジとエッジ周辺の矩形の面を含む) の 3 つのフェイスがあります。このレンズのすべてのフェイスをコーティングする場合、3 種類のコーティングを、各フェイス グループに 1 つずつ適用できます。複数の面を 1 つのフェイス番号にまとめることができ、同じフェイス番号の面には、すべてに同じ光学的特性が適用されることに注意してください。有効なフェイス番号は 0 ~ 50 ですが、ほとんどのオブジェクトのフェイス数は 3 以下です。
[プロファイル] (Profile) : プロファイルとは、オブジェクトのフェイスに適用する薄膜コーティングおよび散乱モデルのデータに関する一連の設定です。光学系内の多くのオブジェクトがすべて同じ材質で構成され、同じコーティングおよび散乱特性を持つものとします。各オブジェクトおよびフェイスに同じデータを何度も入力するのではなく、一度だけ入力してそれをプロファイルに保存します。保存したプロファイルは、他のあらゆるオブジェクト フェイスに適用できます。プロファイルは、システム エクスプローラの [ファイル] (Files) セクションで指定した名前のファイルに保存されます。詳細は、「散乱プロファイル」を参照してください。オブジェクト固有の設定が必要な場合は、[下記の定義を使用] (Use definitions below) を選択して、散乱パラメータを編集します。プロファイルを選択すると、コーティングおよび散乱データの入力欄は無効になります。これらのデータは選択したプロファイルで定義されるからです。ただし、プロファイルによる設定内容は表示されます。
[保存] (Save) : 現在の散乱設定を新規プロファイルとして保存します。このボタンをクリックすると、新規プロファイルの名前の入力を求めるプロンプトが表示されます。
[削除] (Delete) : 現在選択しているプロファイルを散乱プロファイル ファイルから削除します。
[Face Is] (Face Is) : フェイスを屈折性、反射性、吸収性のいずれかに設定します。次の各オプションがあります。
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[オブジェクト デフォルト] (Object Default) を選択すると、NSC エディタで定義した材質タイプに応じて、屈折性、反射性、吸収性が設定されます。
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[反射性] (Reflective) を選択すると、そのフェイスは必ず反射性になります。光線の透過成分は無視されます。[反射性] (Reflective) の面は、0.55µm の波長における屈折率が 0.7-7.0i のアルミニウム厚膜でコーティングされているものと見なされます。この層は、光がその中を伝搬することがない十分な厚みを持つものと見なされます。
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[吸収性] (Absorbing) を選択すると、そのフェイスは必ず吸収性になります。
[コーティング] (Coating) : 選択したフェイス番号の面に適用するコーティングの名前。コーティングは光学系のコーティング ファイルで定義します。詳細については、「コーティングの定義」を参照してください。
偏光と薄膜コーティング
ノンシーケンシャル コンポーネントを通じた光線追跡では、偏光の効果を考慮することも、無視することもできます。光線の初期偏光状態は、光源の特性で決まります。「[オブジェクト プロパティ] (Object Properties)」の「[光源] (Sources)」のセクションを参照してください。偏光光線追跡を使用する場合、すべての面で光エネルギーの透過、反射、吸収が考慮されます。バルク吸収も考慮されます。薄膜コーティングは、光学面の透過および反射特性に著しい影響を与えます。初期状態の面にはコーティングが施されていませんが、面または面のグループにコーティングを適用できます。
互いに接する面上のコーティング
2 つの直角二等辺三角柱プリズム (内角が 45°、45°、90°) を、それぞれの 1 フェイスが他のプリズムのフェイスと接するように配置したときのように、2 つの面が互いに接している場合、接する面の「間」にコーティングを適用できます。
それには、「オブジェクトの配置」セクションで説明した規則に従って定義します。その規則とは、2 つのオブジェクトの界面の特性は、NSC エディタで最後に記述したオブジェクトの特性で決まるというものです。
たとえば、ビーム スプリッタを構成するように配置された 2 つのプリズム間の界面上に金属薄膜コーティングを設定する場合、1 番目に記述したプリズム オブジェクトの接触面は「コーティングなし」に、2 番目に記述したオブジェクトの接触面には適切な薄膜コーティングを施します。この界面に 2 つのプリズムのいずれかの側から入射する光線は、適切なコーティングに遭遇し、光線の透過または反射 (あるいはその両方) が正確に計算されます。POB オブジェクト (ポリゴン) としてモデル化したプリズムは、フェイスごとに異なるコーティングを適用できるため、ある面には反射防止コーティングを、別の面には反射コーティングを施すことも可能です。
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