[位相収差] (Phase Aberration)


偏光によって光学系に発生する位相収差を計算します。

[Jx] (Jx)、[Jy] (Jy) ジョーンズ電界。「初期偏光の定義」を参照してください。
[X 位相] (X Phase)、[Y 位相] (Y Phase) ジョーンズ電界の X 成分と Y 成分の位相 (度数)。
[波長] (Wavelength) 追跡する光線の波長番号。
[視野] (Field) 追跡する光線の視野位置番号。
説明
偏光位相収差は、誘電体媒質中での屈折効果や、金属性ミラーまたは誘電体ミラーでの反射によって発生します。この機能では、指定の視野位置と波長における像空間の偏光位相収差を、電界ベクトルの X 方向と Y 方向で入射瞳座標の関数として求めます。この収差は、X または Y などの単一の方向における電界位相の変動を瞳位置の関数として定義したものです。たとえば、主光線の電界の X 方向が (0.7 + 0.7i) で、瞳の別の点における電界の X 方向が (-0.7 + 0.7i) の場合 (電界の値は複素値です)、これらの点の間の偏光位相収差は 1/4 波長になります (Ex の位相が 45°から135°に変化しているのでその差は 1/4 波長です)。この位相差は、Ex 電界と Ey 電界の間の位相差とはまったく異なります。Ex と Ey との位相差は線形や円形などの偏光状態を表しています。Ex と Ey との位相差については、「[パワー瞳マップ] (Power Pupil Map)」を参照してください。
通常の OPD プロットと同様、偏光位相収差は主光線を基準にします。なお、主光線の位相をどちらの方向でも特定できない場合があります。たとえば、軸対称の光学系では、入射光が Y 方向に線形偏光している場合、主光線の X 方向はゼロ強度になるため、X 方向の位相は特定できません。瞳の中にある光線がこのような光線ではない場合、その偏光がわずかに回転していることが普通なので、X 方向の電界には有効な位相角があります。このような位相の不連続性を回避するため、OpticStudio では、主光線の両側にある 2 本の光線の平均値を計算して、主光線の位相を補間します。このような平均化手法を使用しても、問題が発生することがあります。いずれの場合も、位相データの有効性は保たれます。強度がゼロの場合、位相収差は像質に何の影響も与えないからです。
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