アレイ リング



このオブジェクトは、単一の親オブジェクトに基づく同一オブジェクトの集合であり、リングまたは円弧に配置されます。親オブジェクトのコピーが各アレイ位置に配置されたかのように、個々のアレイ エレメントは、すべて親オブジェクトと同じ機能を持ちます。一般に、アレイ リング オブジェクトは、各エレメントの位置に親オブジェクトをコピーすることによって作成された同等の光学系よりも、追跡が高速で、メモリ効率が高くなります。アレイ リング オブジェクトは、次のパラメータで定義されます。

パラメータ番号 説明 フェイス名 フェイス番号
1 親オブジェクト番号。親オブジェクトは、NSC エディタでアレイ オブジェクトの前に配置されている必要があります。 該当なし 該当なし
2 モード番号。 該当なし 該当なし
3 アレイ エレメントの数、N。 該当なし 該当なし
4 レンズ ユニットでのリングまたは基準球の半径、R。 該当なし 該当なし
5 ~ 9 パラメータα、β、γ、ẟ、およびε。これらのパラメータが角度である場合は、その単位は常に度数になります。 該当なし 該当なし

光源またはディテクタを除き、親オブジェクトは任意のオブジェクト タイプにすることができます。親オブジェクトで [オブジェクトをディテクタとする] (Object Is A Detector) ボックスがチェックされている場合、このプロパティはアレイ エレメントで無視されます。光源のアレイを作成するには、「[オブジェクト プロパティ] (Object Properties)」の「[光源] (Sources)」の各種設定を参照してください。

アレイ エレメントの数は、原則として任意の数にすることができます。しかし、非常に大きいアレイでは、光線追跡やレンダリングに過度な計算時間またはコンピュータ メモリを要することがあります。

アレイ エレメントは、リング (または円弧) 上に配置されます。アレイ エレメントの位置を定義するには、モード フラグで指定される 2 つの方法があります。モード 0 では、平面内にオブジェクトのリングが作成されます。モード 1 では、基準球上にオブジェクトのリングが作成されます。各アレイ エレメントの配置方法は、各モードで次のようになります。

モード 0 : このモードのスケッチは、サンプル ファイル "Zemax\Samples\Non-sequential\Geometry Creation\Ring Array Example 2- Spiral of Archimedes.ZMX" に基づいています。

親オブジェクトは、最初にアレイ リングの頂点に配置されます。



次に、アレイのローカル座標の +Z 軸を中心として、そのオブジェクトが角度αだけ回転します。



次に、アレイのローカル座標の +X 軸に沿って、そのオブジェクトが距離 R だけ移動します。



次に、アレイのローカル座標の Z 軸を中心として、そのオブジェクトが角度γだけ回転します。アレイの最初のエレメントは、この位置になります。

次の図は、γ値が 35 度の場合を示しています。一方、サンプル ファイル "Ring Array Example 2- Spiral of Archimedes.ZMX" ではγ値が 0 度になっています。この値の違いは、それによる効果を示すことを目的としています。



それ以降のエレメントは、アレイのローカル座標の Z 軸を中心として、さらに角度δ/N だけ回転します。アレイ エレメント「k」の角度位置は、θ = γ + k * ẟ /N で求められます。ここで k は、0 ~ N-1 の範囲で変化します。完全なリングにするには、δを 360 に設定する必要があります。モード 0 を使用して、アルキメデスの螺線を形成することもできます。この場合、R は、R + k * β * δ/N に置き換えられ、βは度数をレンズ単位として解釈されます。また、レンズ ユニットで表した値εを使用して、k * δ/N で得られる角度が 360°を通過するたびに、R に発生する変分を定義することもできます。βまたはεがゼロ以外の場合、アレイの対称性が失われるため、一般に光線追跡ははるかに遅くなります。

モード 1 : このモードのスケッチは、サンプル ファイル "Zemax\Samples\Non-sequential\Geometry Creation\Ring Array Example 1- Fly's Eye Array.ZMX" に基づいています。

親オブジェクトは、最初にアレイ リングの頂点に配置されます。



次に、アレイのローカル座標の +Z 軸を中心として、そのオブジェクトが角度αだけ回転します。



つづいて、アレイのローカル座標の Y 軸に平行で、アレイのローカル +Z 方向に距離 R だけ移動した軸を中心として、そのオブジェクトが角度βだけ回転します。この操作により、アレイ エレメントのローカル座標 Z が半径 R の球の中心方向を指すようになります (R が負の場合は中心から離れる方向を指します)。ここで使用する角度βの符号規則により、R が正負のどちらであるかにかかわらず、βは必ず正になり、オブジェクトは必ずローカル座標の +X 軸方向に回転します。





次に、アレイのローカル座標の Z 軸を中心として、そのオブジェクトが角度γだけ回転します。アレイの最初のエレメント (k = 0) は、この位置になります。

次の図は、γ値が 30 度の場合を示しています。一方、サンプル ファイル "Ring Array Example 1- Fly's Eye Array.ZMX" ではγ値が 0 度になっています。この値の違いは、それによる効果を示すことを目的としています。



それ以降のエレメントは、Z 軸を中心として、さらに角度δ/N だけ回転します。

アレイの中で個々のエレメントが占める位置は、次の式を使用して計算できます。

どのモードでも、完全なリングを形成するにはδを 360 に設定する必要があります。これより小さいδの値では、オブジェクトの円弧が形成されます。これより大きいδの値では、エレメントが重なり合い、無効な形状が生じる可能性があります。角度γは、リングまたは円弧の始点から、Z 軸を中心とした時計方向の回転角です。

アレイ リング オブジェクトのほとんどのプロパティは、親オブジェクトで定義します。アレイ リング オブジェクトと親オブジェクト間で異なる場合がある例外に、[光線はこのオブジェクトを無視] (Rays Ignore This Object) と [オブジェクトの非表示] (Do Not Draw Object) の設定があります。すべての他のプロパティ (フェイスの定義、材質、コーティング、散乱、回折、または分布屈折率のプロパティなど) は、親オブジェクトでの定義どおりになり、アレイ オブジェクトの設定は無視されます。親オブジェクトが必要ない場合は、親オブジェクトで [光線はこのオブジェクトを無視] (Rays Ignore This Object) と [オブジェクトの非表示] (Do Not Draw Object) の設定を使用します (「[タイプ] (Type) タブ」と「[描画] (Draw) タブ」を参照)。親オブジェクトが描画されず、光線追跡されない場合でも、アレイは作成され、光線追跡されます。アレイ オブジェクトに到達した光線は、アレイ オブジェクト番号ではなく親オブジェクト番号への到達をレポートすることに注意してください。このため、ZRD ファイル、最適化オペランド、またはフィルタ文字列を使用する際には、光線データの参照に使用するオブジェクト番号を、親オブジェクト番号にする必要があります。

他のオブジェクトの内側または外側にアレイ オブジェクトをネスティングする場合は、通常のネスティング ルールが適用されます。詳細は、「ネストする体積」を参照してください。ただし、ネスティング ルールは、アレイ オブジェクトではなく、NSC エディタでの親オブジェクトの配置によって決定されます。特に、アレイ オブジェクトが一番外側の別のオブジェクトの内側にネスティングされる場合、親オブジェクトは、エディタの一番外側のオブジェクトの後に配置する必要があります。

次へ :