[光源] (Sources)

オブジェクト光源オプションは、[オブジェクト プロパティ] (Object Properties) ウィンドウの [光源] (Sources) セクションで設定します。[オブジェクト プロパティ] (Object Properties) ウィンドウにアクセスするには、NSC エディタ上部の [オブジェクト プロパティ] (Object Properties) バーにある下矢印をクリックします。



[光源] (Sources) セクションは、偏光状態、コヒーレンス長、NSC 光源から発せられた光線の初期位相、位置、方向などの、光源 (オブジェクト) プロパティの定義に使用します。重要な情報については、「初期偏光の定義」を参照してください。このタブでは、次のコントロールを使用できます。

[偏光] (Polarization)

[ランダム偏光] (Random Polarization) チェックすると、ランダム偏光された光が光源から発せられます。チェックしないと、このセクションの他のコントロールを使用して、偏光状態を定義できます。

[初期位相] (Initial Phase) 光線の初期位相 (度数)。光路における 1 つの波は 360°になります。この設定は、光線の位相に基づいたコヒーレント光線の計算にのみ影響します。

[コヒーレンス長] (Coherence Length) 相当する位相がわかっている、光線伝播の長さ (レンズ ユニット)。コヒーレンス長の効果の詳細については、「コヒーレンス長のモデル化」を参照してください。

[Jx] (Jx)、[Jy] (Jy) ローカル座標の x 方向と y 方向におけるそれぞれの電界の大きさ。

[X 方向位相] (X-Phase)、[Y 方向位相] (Y-Phase) ローカル座標の x 方向と y 方向におけるそれぞれの電界の位相 (度数)。

[光線追跡] (Ray Trace)

[光線の反転] (Reverse Rays) このオプションをチェックすると、各光線の方向余弦が反転します。これは、光源から発せられた光線の初期方向を反転するのに有効です。光線の反転は、伝播前距離 (存在する場合) が考慮された後に実行されます。

[伝搬前距離] (Pre-Propagation) NSC オブジェクト内における実際の光線追跡を開始する前に光線が伝播する距離 (レンズ ユニット)。[伝搬前距離] (Pre-Propagation) では、光線の方向余弦に沿って光線の始点が前後に動かされます。この機能は、ある位置に光線を定義した後、その光線路に沿った別の位置 (光源付近のオブジェクトの前後など) で光線追跡を開始する際に役立ちます。この伝播前距離によって、伝播長で考慮する光線の初期位相と電界が変更されます。[光線の反転] (Reverse Rays) オプションが選択されている場合、光線の反転より前に [伝搬前距離] (Pre-Propagation) の処理が実行されます。

[バルク散乱] (Bulk Scatter) 通常、バルク散乱材質からなるオブジェクトを光線が通過する場合、その光線は材質内で何度も散乱する可能性があります。これがデフォルトの [複数回] (Many) オプションです。[1 回] (Once) を選択すると、光線のブランチごとにバルク散乱を 1 回しか実行できません。散乱前に光線が分割された場合は、それぞれの子光線を散乱することができます。各子光線のブランチは初めて散乱されるからです。[散乱しない] (Never) を選択すると、この光源からの光線ではバルク散乱は発生しません。このコントロールは、蛍光をモデル化するときに役に立ちます。「[オブジェクト プロパティ] (Object Properties)」の「[バルク散乱] (Bulk Scatter)」セクションも参照してください。

[サンプリング方法] (Sampling Method) 使用可能なオプションはランダムと Sobol です。光源モデルのパラメータ定義が終了すると、光線がランダムに生成されることで、光源から放たれる光がモデル化されます。ただし、真にランダムな数値が望ましいとは限りません。サンプル数が小さい場合、乱数ではサンプルのパラメータ空間を均一にサンプリングできない傾向があるからです。乱数は一定の範囲にかたまり、サンプリング空間に比較的大きな空隙が生じる場合があります。実際の計算では、滑らかに変化する結果が得られる十分なサンプル数を得るために、膨大な数の光線が必要になります。Sobol サンプリングは、定性的にはランダムに見えるものの、実際にはまだサンプリングしていない領域を適切に「埋める」ように、入念に選ばれた分布を実現する広く使われているサンプリング アルゴリズムです。  ランダム サンプリングおよび Sobol サンプリングの利点と欠点については、「ランダム サンプリングと Sobol サンプリング」を参照してください。

[アレイ] (Array)

[アレイ タイプ] (Array Type) この機能では、「親」光源と同じプロパティを持った複数の同一光源からなるアレイを作成します。アレイ タイプによっては、[光源] (Source) タブで使用可能になった追加パラメータを使用して、アレイ エレメントの数とアレイ サイズを定義できます。サポートされるアレイ タイプは次のとおりです。

[矩形] (Rectangular) : このアレイを使用して、ローカル座標の X 方向と Y 方向に均一の間隔で複数の光源を配置した 1D ラインまたは 2D アレイを作成できます。使用できるオプションとして、X 方向の光源数と Y 方向の光源数、各方向に沿った光源間の間隔 (レンズ ユニット) などがあります。各方向における光源の最小数は 1 で、最大数は 2000 です。光源の番号は、親オブジェクトの位置にある 1 列目 (x) の 1 行目 (y) で、1 から始まります。それ以降の各光源の番号は、1 行目の列番号で示されますが、x 方向の光源の最大数に達するまで列番号は増分されます。その次の光源は、2 行目の 1 列目に配置され、すべての光源が配置されるまで、列番号が再度増分されます。

[円形] (Circular) : 親オブジェクトの座標を中心とした円上に光源を配置したアレイです。各光源は、指定の半径座標において、一定の角度で等間隔 (レンズ ユニット) に配置されます。最初の光源は XY 平面の 0°にあり、すべての光源が配置されるまで、各光源は円をたどりながら反時計回り (-Z 軸の下方向) に配置されます。

[六極] (Hexapolar) : このアレイは、等間隔の複数の光源リングからなります。最初の「リング」は親オブジェクトの位置にあり、そこに最初の光源が配置されます。2 つ目のリングには、一定の角度で等間隔の 6 つの光源が含まれます。XY 平面の +90°にある光源 2 から始まり、6 つの光源 (光源 2 ~ 7) がすべて配置されるまで、各光源は円をたどりながら反時計回り (-Z 軸の下方向) に配置されます。3 つ目のリングには 12 個の光源、4 つ目のリングには 18 個の光源が含まれており、このパターンは最後のリングに到達するまで繰り返されます。最大で 20 個のリングがサポートされています。間隔パラメータは、隣接するリング間の半径間隔を定義します。

[六角形] (Hexagonal) : このタイプでは、六角形の対称性を示すアレイが形成されます。最初の「リング」には、親光源の位置に 1 つの光源が含まれます。2 つ目のリングには、中央の光源を六角形に囲むように配置された 6 つの光源が含まれます。3 つ目のリングは、2 つ目のリングの外側に配置された 12 個の光源から構成されており、このパターンは最後のリングに到達するまで繰り返されます。最大で 20 個のリングがサポートされています。間隔パラメータは、六角形領域の全高、つまり同じ列にある光源間の垂直間隔を定義します。間隔パラメータは、六角形領域の全高、つまり同じ列にある光源間の垂直間隔を定義します。このアレイの番号付けの規則では、1 は一番下 (-y 座標) の左端 (-x 座標) の列から始まり、左端の列を上方向に上がります。その後、右側にある次の列の一番下から始めて、その列を上方向に上がります。このパターンは、右端の列の一番上の光源に達するまで繰り返されます。

すべての光源アレイに当てはまることですが、光源の合計数が 10,000 を超えると、光源 (オブジェクト) は描画されません。描画光線数、解析光線数、パワーなど、光源のパラメータ設定は、アレイ内の各光源に適用されます。たとえば、1 ワット光源の 3 x 3 アレイでは、9 ワットのパワーが生成されます。

[色/スペクトル] (Color/Spectrum)

[[光源の色] (Source Color)、[スペクトル] (Spectrum)、[波長] (Wavelengths From)、[から] (To)] (Source Color, Spectrum, and Wavelengths From/To) これらの設定では、光源のスペクトル モデルの生成方法を選択します。  光源のスペクトル成分は、さまざまな方法でモデル化できます。光源は単色であったり、オレンジや白などの合成色を表現するために可視スペクトルの特定の領域を包含していることがあります。使用可能な光源の色モデルについて以下で説明します。

[光学系の波長] (System Wavelength) : このオプションを選択すると、[光学系の波長] (System Wavelength) ダイアログ ボックスで定義した単色波長が使用されます。光学系の波長については「[波長] (Wavelengths)」を参照してください。光学系の波長を定義すると、光線追跡で使用する波長が、光源で使用されている波長番号によって定義されるようになります。波長番号は、すべての光源で使用されている NSC エディタ パラメータの 1 つです。詳細については、「すべての光源オブジェクトで共通するパラメータ」を参照してください。これは、[光源の色] (Source Color) のデフォルト設定です。また、光学系の波長を使用する唯一の設定です。

[CIE 1931 三刺激値 XYZ] (CIE 1931 Tristimulus XYZ) : この光源の色モデルでは、一般的には X、Y、Z という名前が付けられている 3 つの CIE 三刺激値を使用して、光源の色を定義します。目的の色を表現するために生成されるスペクトルに関する重要な情報については、「スペクトル フィッティング アルゴリズム」を参照してください。Y 値は通常、光源の全体的な明るさをルーメン単位で表すものですが、OpticStudio では、光源の色を定義する際に、Y 値をこの目的で使用しません。光源のパワーまたは明るさは個別に設定されます。詳細については、「すべての光源オブジェクトで共通するパラメータ」を参照してください。OpticStudio では、スペクトルを計算するために、XYZ 値が内部的に 1 ルーメンで正規化されます。

[CIE 1931 色度 xy] (CIE 1931 Chromaticity xy) : 正規化された色度座標が使用されていることを除けば、この光源の色モデルは、本質的には前述の XYZ モデルと同じです。OpticStudio では、xy 値が XYZ に変換された後、「スペクトル フィッティング アルゴリズム」の手順が実行されます。

[CIE 1931 RGB (飽和)] (CIE 1931 RGB (Saturated)) : RGB 値が CIE XYZ 座標に変換された後のスペクトルの計算手法は、CIE 1931 三刺激値と同じです。この RGB 色は、完全に飽和された RGB 色になることに注意してください。つまり、8 ビット スケール (128、128、128) ではグレーだった色が、最大輝度 (256, 256, 256) に飽和されて白として表示されます。相対的な色値が保持される限り、グレーと白、またはその他の暗色と明色の間で色スペクトルの差が生じることはありません。

[均一パワー スペクトル] (Uniform Power Spectrum) : これにより、指定の波長範囲における定義された離散波長の数で均一パワー スペクトルが作成されます。

[D65 白色] (D65 White) : X = 0.9505、Y = 1.0000、Z = 1.0890 に定義します。これは、コンピュータ モニターにおける D65 白色です。

[色温度] (Color Temperature) : ケルビン単位の温度に基づいて、指定の温度の黒体と同じ色を生成する XYZ 三刺激値が計算されます。その後、CIE 1931 三刺激値の説明に従ってスペクトルが計算されます。これは、真の黒体スペクトルではなく、その温度の黒体と同じ色を生成するのに適したスペクトルです。

[黒体スペクトル] (Black Body Spectrum) : ケルビン単位の温度に基づいて、指定の波長範囲にわたる真の黒体スペクトルを生成します。この色モデルは、可視スペクトルに限定されません。

[スペクトル ファイル] (Spectrum File) : この色モデルでは、ファイルから波長値と重みが読み込まれます。ファイル形式の詳細については、「スペクトル ファイルの定義」を参照してください。

[CIE 1976 色度 u’/v’] (CIE 1976 Chromaticity u’ v’) : 正規化された色度座標が使用されていることを除けば、この光源の色モデルは、本質的には前述の XYZ モデルと同じです。OpticStudio では、u’ と v’ の値が XYZ に変換された後、「スペクトル フィッティング アルゴリズム」の手順が実行されます。

[光学系の波長] (System Wavelength)、[均一パワー スペクトル] (Uniform Power Spectrum)、[黒体スペクトル] (Black Body Spectrum)、[スペクトル ファイル] (Spectrum File) 以外のすべての [光源の色] (Source Color) 設定では、選択した色を表すのに適したスペクトルを設定する必要があります。「スペクトル フィッティング アルゴリズム」を参照してください。

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