公差解析の概要

OpticStudio には、高い柔軟性を備えた強力な公差生成と感度解析の機能が用意されています。解析用の公差には、曲率、厚み、位置、屈折率、アッベ数、非球面定数など、さまざまな構成パラメータが含まれます。OpticStudio では、面とレンズ グループのディセンタ、任意の点を基準にした面とレンズ グループのティルト、面の形状のイレギュラリティ、およびパラメータや追加データの値の変動の解析もサポートされています。パラメータと追加データの項は、非球面、分布屈折率の係数やその他の係数を表す場合があるため、これらの値も公差解析の一部として含めることができます。各種の公差を任意の組み合わせで使用することで、調整エラーと製作エラーが光学系の性能に与える影響を推定できます。

OpticStudio では、公差解析において常に正確な光線追跡が使用されます。OpticStudio の公差アルゴリズムでは、一次結果の近似計算や推定は行われません。

公差は、TRAD (半径の公差を定義する) などのオペランドを使用して定義されます。公差解析オペランドは、レンズ ファイルとともに自動的に保存されます。公差解析オペランドは、[設定] (Setup) タブの [エディタ] (Editor) グループ、または [公差] (Tolerance) タブで表示可能な [公差解析データ エディタ] (Tolerance Data Editor) で編集します。

公差は、RMS スポット半径、RMS 波面エラー、MTF 応答、照準誤差、ユーザー定義の評価関数などの各種の基準、または複雑な調整と評価の手順を定義するスクリプトで評価できます。さらに、コンペンセータを定義することで、製作後にレンズに加えることができる調整をモデル化できます。OpticStudio では、コンペンセータでの変更に限界を設定することもできます。

公差は、以下の 3 つの方法で計算および解析できます。

感度解析:

特定の公差セットについて、個々の公差で基準の変化が決定されます。オプションで、各視野と各コンフィグレーションの基準を個別計算できます。

逆感度解析:

基準の許容可能な変化について、各公差の限界が個別計算されます。逆感度は、公称値からの変化に対して限界を設定したり、基準に対して直接限界を設定することで計算できます。基準は、すべての視野とコンフィグレーションの平均値としても、各コンフィグレーションの各視野に対する個別値としても計算可能です。

モンテカルロ解析

感度解析と逆感度解析では、公差による光学系の性能への影響が公差ごとに個別に考慮され、集約された性能が根二乗和の計算で推定されます。すべての公差の集約効果を推定する別の方法として、モンテカルロ シミュレーションが用意されています。このシミュレーションでは、指定の公差の条件を満たす複数のランダム レンズが生成されてから、基準が評価されます。考慮している欠陥の範囲と大きさを示す以外の目的で、近似計算は行われません。適用可能なすべての公差を同時かつ正確に考慮することで、期待されている性能の非常に正確なシミュレーションを実現できます。モンテカルロ シミュレーションでは、正規分布、均一分布、放物線分布、またはユーザー定義の分布統計を使用することで、任意の数の設計を生成できます。

次へ :