[ティルト/ディセンタ] (Tilt/Decenter)

面のティルトおよびディセンタ オプションは、[面のプロパティ] (Surface Properties) ウィンドウの [ティルト/ディセンタ] (Tilt/Decenter) セクションで設定します。レンズ データ エディタの上部の [面のプロパティ] (Surface Properties) バーで下矢印をクリックすると、面のプロパティが表示されます。



面のティルトおよびディセンタにより、面に対する光線追跡の前後に座標系の変更を実装できます。アプリケーションには、面のディセンタと元の座標系へのリターン、折り返しミラーのティルトと再ティルトによるビームの追跡、面のティルトによるウェッジのモデル化など、その他多くの機能が含まれます。面のティルトとディセンタは座標ブレークと機能が重複し、よく似ています。座標ブレークの詳細については、「座標ブレーク」を参照してください。面のティルト/ディセンタは、座標ブレークの後に面を配置し、その後に別の座標ブレークを配置するのと同じ効果があります。

面のティルトとディセンタは、座標ブレーク面に対しては実行できません。ただし、座標ブレーク面は座標リターン ソルブをサポートしています。「座標リターンの使用」を参照してください。また、物体が無限共役にある場合、面のティルトとディセンタを第一面より前で実行することもできません。

面のティルトとディセンタを使用する利点は、レンズ データ エディタで「ダミー」の座標ブレーク面が排除されることです。これにより、一部のユーザーが好むような、多少すっきりとした表示になります。面のティルトとディセンタを使用するデメリットは、現在の実装では面のティルトとディセンタのデータの最適化がサポートされていないことです。

面のティルトとディセンタの操作は、以下の順番で実行されます。

[面の前] (Before the surface) 座標系は X 方向にディセンタ、Y 方向にディセンタされ、X 軸を中心としてティルト、Y 軸を中心としてティルト、Z 軸を中心としてティルトされます。ディセンタはレンズ ユニットで測定し、ティルトは各軸を中心として時計回りの角度 (度数) で測定します。または、ティルトの次にディセンタという順番にすることもできます。この場合、座標系は Z 軸を中心としてティルト、Y 軸を中心としてティルト、X 軸を中心としてティルトされ、Y 方向にディセンタ、最後に X 方向にディセンタされます。

[面の後] (After the surface) 上記と同じ一連の操作が、いずれかの順序で実行されます。ディセンタとティルトの前と後の値、およびそれらの実行順序は無関係です。ただし、ディセンタとティルトの後の値を前の値と関連付けておくと便利な場合がよくあります。使用できるオプションは次のとおりです。

a) ティルトとディセンタを明示的に定義する。

b) 現在の面の前のデータから値をピックアップする (通常は折り返しミラーに使用する)。

c) 現在の面の前のデータから値を反転させる (ディセンタ/ティルトとリターンと呼ばれることもある)。

d) 前の面の前のデータから値をピックアップする。

e) 前の面の前のデータから値を反転させる (通常は一定範囲の面のディセンタに使用する)。

これらのオプションはすべて「面の後」の設定でもサポートされます。前の面からの値を反転させるには、順序を変更し、ターゲット面からティルトとディセンタの値をピックアップして、符号を反転させる必要があります。

前および後のティルトとディセンタから生成される座標系が、次の面の座標系を定義します。面の厚みは、すべてのティルトとディセンタを適用した後の新しい座標系における厚みであり、生成された Z 軸に沿って測定されます。

座標リターンの使用

前の面の座標系に戻ると便利なことがよくあります。座標リターン機能を任意の座標ブレーク面で使用することで、これを実現できます。面は座標ブレーク面である必要があることに注意してください。座標リターンを使用することで、その座標リターンで制御されるデータに対するすべてのソルブ、変数、またはマルチコンフィグレーション ステータスが無効になります。マルチコンフィグレーション エディタで座標リターン ソルブを制御する場合は、「マルチコンフィグレーション オペランド」の「CROR」を参照してください。

座標リターンでサポートされているオプションを次に示します。

[なし] (None) : この機能は無効になり、座標ブレークのティルトとディセンタが自動的に決定されなくなります。

[方向と XYZ] (Orientation XYZ) : 座標系の方向が前の面に戻るように、x 軸、y 軸、z 軸のそれぞれを中心としたティルトが決まります。面の頂点の位置のオフセットは調整されません。

[方向と XY] (Orientation XY) : 座標系の方向、頂点オフセットの x 方向成分と y 方向成分が前の面に戻るように、x 軸、y 軸、z 軸のそれぞれを中心としたティルト、x 方向と y 方向のディセンタが決まります。面の頂点の z 位置のオフセットは調整されません。

[方向と XYZ] (Orientation XY) : 座標系の方向と頂点が前の面に戻るように、x 軸、y 軸、z 軸のそれぞれを中心としたティルト、x 方向、y 方向、z 方向それぞれのディセンタが決まります。z ディセンタは座標ブレークの厚みに対して設定されるので、次に続く面の方向と位置は前の面と同じになります。

[リターン先の面] (To Surf) : この設定は、座標系のリターン先となる前の面を制御します。

座標の変換の詳細については、シーケンシャル面の「座標ブレーク」を参照してください。

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