[簡易歩留まり解析] (Quick Yield)


高速な近似計算により、光学系に予測できるモンテカルロ歩留まりを計算します。

[波長] (Wavelength) 計算で使用する波長の番号。
[視野] (Fields) : 一般的に、最適化と通常の解析に使用した視野定義は、公差解析には不十分です。たとえば、回転対称レンズでは、0°、7°、10°の視野定義が使用されている場合があります。公差解析の用途における視野定義の対称性の欠如は、ティルトまたはディセンタの公差解析を実行する際に、不正確な結果につながる可能性があります。公差解析に使用する評価関数を作成する場合、OpticStudio では、以下の 3 つの異なる視野設定を使用できます。
[Y 対称] (Y-Symmetric) : OpticStudio では、最大視野座標が計算された後、Y 軸方向にのみ、その最大視野座標の +1.0、+0.7、0.0、-0.7、-1.0 倍の位置に新しい視野点が定義されます。X 視野値は、すべてゼロに設定されます。これは回転対称レンズのデフォルトです。
[XY 対称] (XY-Symmetric) : 使用する視野点が 9 つであることを除けば、[Y 対称] (Y-Symmetric) と似ています。[Y 対称] (Y-Symmetric) で使用する 5 つの点のほか、X 軸方向にのみ -1.0、-0.7、+0.7、+1.0 の各点が追加されます。
[ユーザ定義] (User Defined) : 現在のレンズ ファイルに存在する視野定義を使用します。このオプションは、ビネッティング ファクタの使用時、マルチコンフィグレーション レンズの公差解析の実行時、または公差スクリプトの使用時に必要になります。また、非回転対称レンズや、ユーザー定義の視野の使用が必要になる複雑な視野重み付けが設定されているレンズの公差解析を実行する際に、その使用を強くお勧めします。
ユーザー定義の視野を使用する際には、重み付けの調整は行われません。[Y 対称] (Y-Symmetric) の場合、中心点の重み付けは 2.0 で、残りのすべての点の重み付けは 1.0 になります。[XY 対称] (XY-Symmetric) の場合、中心点の重み付けは 4.0 で、残りのすべての点の重み付けは 1.0 になります。
[精度] (Precision) 近似で使用する精度。[標準] (Standard)、[高精度] (High)、[超高精度] (Very High) を選択できます。この精度が高いほど、計算は遅くなります。
[瞳サンプリング] (Pupil Sampling) ガウシアン求積法で追跡する光線の、瞳の放射方向サンプリング値。
[モンテカルロ実行数] (# Monte Carlo Runs) モンテカルロ シミュレーションの実行回数。
[統計] (Statistics) ガウシアンの「正規」分布、「均一」分布、「放物線」分布のいずれかを選択します。
[補償] (Compensation) 実行する補償サイクル数。[標準] (Standard) は 2 回、[高] (High) は 5 回、[非常に高い] (Very High) は 10 回です。この解析では、必ず [すべて最適化 (DLS)] (Optimize All (DLS)) と同じ補償が適用されます。モンテカルロ歩留まりと結果を比較するには、これらに従って公差解析ツールを設定していることを確認する必要があります。
[コンペンセータ] (Comp) コンペンセータの評価方法を指定します。[すべて最適化] (Optimize All) では、OpticStudio の最適化機能を使用して、定義されているコンペンセータすべての最適値を決定します。最適化を実行すると正確性は高くなりますが、実行に長時間を要します。DLS および OD という、2 つの異なる最適化アルゴリズムが存在します。[すべて最適化 (DLS)] (Optimize All (DLS)) を選択すると、直交降下法アルゴリズムの 1 つのサイクルが実行された後、減衰最小二乗法アルゴリズムが実行されます。[すべて最適化 (OD)] (Optimize All (OD)) を選択すると、直交降下法アルゴリズムのみが使用されます。詳細は「最適化の実行」を参照してください。[近軸焦点] (Paraxial Focus) を選択すると、近軸後方焦点の誤差の変化のみがコンペンセータとして考慮されます。それ以外のコンペンセータはすべて無視されます。[近軸焦点] (Paraxial Focus) は、大まかな公差解析を実行する際に非常に役に立ちます。また、[すべて最適化] (Optimize All) を使用するよりもかなり高速になります。[なし] (None) を選択すると、補償は実行されず、定義されているコンペンセータはすべて無視されます。
説明
この解析では、感度に対する結果を波面収差のフィッティングに使用します。このフィッティングでは、修正 Rimmer 法を使用して外挿を実行します。このフィッティングに基づいてモンテカルロの結果を再構成できます。
モンテカルロの結果を再構成する正確な方法論は ANSYS, Inc. の機密事項であり、その知的財産です。
現時点の簡易歩留まり解析には、コンペンセータが最小値または最大値に達しても、モンテカルロ変動を軽減できるだけの補償範囲が得られないことがあるという制限があります。その場合には、誤った結果が得られます。コンペンセータの補償範囲を広げれば、この問題は回避できます。
変動による効果の非線形性が大きい場合も、簡易歩留まり解析の機能は制限されます。たとえば、変動によって著しいビーム遮蔽が発生する場合が挙げられます。
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