光路解析





この機能は、Ansys Zemax OpticStudio の Premium Edition と Enterprise Edition でのみ使用できます。

この機能では、光線データベース ファイルにある光線を、各光線が光学系でたどった光路に従ってグループ化します。同じ一連のオブジェクト フェイスを持つ光線は同じ光路にグループ化され、それらの光束はまとめて追加されて、光路の合計光束を決定します。

光路解析では n.f 形式の順序でレポートされます。ここで、n はオブジェクト番号、f はフェイス番号です。この機能では、光路フィルタを自動的に生成することもできるので、光線のグループを互いに別々に調査できます。

[光線データベース] (Ray Database) 解析対象とする光線データまたは光路のファイルを選択します。

[光線の最初の番号] (First Ray)、[光線の最後の番号] (Last Ray) 光線の範囲を選択します。すべての光線を使用するには、[光線の最初の番号] (First Ray) を 1、[光線の最後の番号] (Last Ray) を -1 に設定します。

[フィルタ] (Filter)フィルタ文字列」を参照してください。PAF ファイルに対するフィルタは光線追跡の際に指定する必要があります。ここでは適用できません。

[光路フィルタを生成] (Generate Path Filters) 選択すると、可能なすべての光路の光路フィルタが自動的に生成されます。

[相対最小光束] (Relative Minimum Flux) 相対光束は、ブランチ光線が出発したときの開始エネルギーを基準とした、ブランチが終了したときのエネルギー量を表した値です。指定の最小値をこの値が下回る場合、そのブランチは「未分類」の合計に加算されます。

[光路の並び替え] (Sort Paths By) 光路の配置を指定します。使用できるオプションは、最終全光束、光線が到達したオブジェクト数、‍子光線数、光線が到達した最後のオブジェクト、光線が到達した固有のオブジェクト数、平均光路長、回折発生回数です。

説明 :

この機能では、選択された ZRD ファイルに記述されている光線のすべてまたは一部を読み取り、フィルタ文字列が指定されていれば、そのフィルタに従って光線にフィルタを適用します。次に、光路解析ツールは各光線ブランチの光路順序を抽出し、光路順序でそれらをグループ化します。光路順序は、対象とするオブジェクトの面と光線が交差する順序を表します。たとえば、スクリーンショットの Path 1 のシーケンスは「1.0, 2.1/(0,*), 2.2, 5.0, 4.0」です。この順序は、光線のブランチが光源 1 から開始し、伝播してオブジェクト 2 のフェイス 1 と交差します。このフェイスで、x 方向の回折次数 0 が生成されます。「*」は y 方向で回折次数が生成されないことを示します。光線ブランチは、オブジェクト 2 のフェイス 2 と交差し、オブジェクト 5 のフェイス 0 まで続き、オブジェクト 4 のフェイス 0 で終了します。

1 つの光路の順序に存在できるオブジェクトの数には上限があり、現在のところ、その上限数は 100 です。この上限数を超える数のオブジェクト交差が存在する光路はすべて、同一の光路を持つものと見なされます。

同じ光路の順序を持つブランチはすべてまとめてグループ化されます。同じ光路の順序を持つすべてのブランチの光束が、その光路の最後で合算されます (光源の単位に関係なく、光束の単位は必ずワットです)。可能なすべての光路の一覧が作成され、[光路の並び替え] (Sort Paths By) のセクションで説明するように並び替えが行われます。このデータは、光路番号、光束出力、すべての光線の合計光束を基準とした相対光束出力、この光路番号の光路をたどるブランチの数、光路順序を記述したレポートにまとめられます。

相対最小光束の要件に合致しないか、一意の経路の最大数 (現在のところ 10,000) を超過したために、どの経路にも該当しない光線ブランチは、雑多な経路を対象とした「未分類」光束に追加されます。

光路解析機能で一度にアクティブにすることができる ZRD ファイル は 1 つのみですが、光路解析ウィンドウは複数開くことができます。

[光路フィルタを生成] (Generate Path Filters) をチェックしている場合、定義済みの光路ごとにこの機能で光路フィルタが作成され、光路 1 のフィルタには _1、光路 2 のフィルタには _2 のように名前が割り当てられます。選択した光路を抽出するフィルタ文字列を使用できる解析機能であれば、このように作成した光路フィルタを使用できます。このようなフィルタでは、光路番号の先頭にゼロを記述しないようにする必要があります。たとえば、_02 ではなく、_2 を使用します。ここで生成された光路フィルタは、レンズ ファイルとともに自動的に保存されます。

NSC 3D レイアウト、NSC シェーデッド モデル、またはディテクタ ビューアの各プロットには、光路フィルタを使用するための使いやすいショートカットがあります。スペース キーを押すと光路フィルタの番号が 1 ずつ増加します (1 から 2、5 から 6、など)。光路フィルタ番号を 1 ずつ小さくするには、Ctrl キーを押したままでスペース キーを押します。また、Shift キーを押したままで上記のスペース キー操作を実行すると、光路フィルタ番号が 10 ずつ増加または減少します。

光路フィルタを他のフィルタと組み合わせて使用することもできます。他のフィルタは、明示的に記述したものでも、名前で指定したものでもかまいません。たとえば、オブジェクト 11 で発生して指定の光路をたどるゴースト光線のみを選択するには、"_7 & G11" を有効なフィルタとして使用できます。  詳細については「フィルタ文字列」および「[名前付きフィルタ] (Named Filters)」を参照してください。

なお、光路フィルタ _n には、光路解析を実行する際に使用するフィルタは含まれていません。光路フィルタ _n では、明示的な光路を伝搬するセグメントで構成された光線ブランチが選択されるにすぎません。

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