[方法] (Method) ([偏光] (Polarization))
この機能は、[非偏光計算] (Unpolarized) オプションのチェックの有無に関わらず使用できます。 光線ベクトルに基づいて S および P ベクトルを決定するために使用するメソッドを選択します。この機能の説明については、「初期偏光の定義」を参照してください。偏光は、ジョーンズ ベクトルを使用して定義されます。
Jx と Jy はどちらも大きさと位相を持っていますが、2D のジョーンズ ベクトル J と 3D の電界ベクトル E を区別するために、ここでは記号 E の代わりに J を使用しています。OpticStudio では、指定した Jx 値と Jy 値の大きさが 1 となるように正規化され、瞳アポダイゼーションを指定している場合は、この正規化に応じてアポダイゼーションの強度がスケーリングされます。したがって、Jx 値と Jy 値は相対的な電界振幅として測定されます。
光線ベクトルを K とし、X 方向余弦、Y 方向余弦、Z 方向余弦 (l, m, n) を含むとします。光線が Z 軸に平行に進む場合 (K = (0, 0, 1) の場合)、Z 方向の電界はゼロであり、ジョーンズ ベクトルから電界への変換は自明となります。つまり、Ex = Jx、Ey = Jy、および Ez = 0 です。
より一般的な光線の場合、ジョーンズ ベクトル (Jx, Jy) から 3D 電界値 (Ex, Ey, Ez) への変換は不明確になります。Jx 値と Jy 値を任意の光線の値として解釈することはできません。Jx 値は Ey をゼロのままとし、Jy 値は Ex がゼロになるように適用すべきです。これは、ジョーンズ ベクトル (Jx = 1、Jy = 0) および (Jx = 0、Jy = 1) を使用して得られる Ex と Ey が互いに直交する必要があると同時に、Kx と Ky の両方とも直交する必要があるからです。
OpticStudio では、J から E への変換を実行する 3 つの異なる手法をユーザーが選択できます。各手法において、ベクトル K は光線ベクトルを意味し、Jx 値はベクトル S に沿った視野、Jy 値はベクトル P に沿った視野です。K、S、P は、すべて単位ベクトルであり相互に直交するものとします。3 つの手法は次のとおりです。
[X 軸基準] (X Axis Reference) P ベクトルは K × X、S ベクトルは P × K で求められます。この手法はデフォルトです。
[Y 軸基準] (Y Axis Reference) S ベクトルは Y × K、P ベクトルは K × S で求められます。
[Z 軸基準] (Z Axis Reference) S ベクトルは K × Z、P ベクトルは K × S で求められます。
物体が無限の場所にある場合、選択する手法により視野の S と P の偏光方向が変わりますが、同じ視野からのすべての光線は相互に平行であるため、同じ偏光を備えます。有限の共役の場合、特に物空間での NA が大きい場合、S ベクトルと P ベクトルの方向は瞳内の光線ごとに異なります。選択する手法に関わらず、非偏光の光の透過結果は影響を受けません。これは、任意の 2 本の直交する光線が透過率を計算するために追跡されるためです。特定の偏光が期待される光学系の場合、J から E への変換により、意図される偏光光線が生じることを注意して確認する必要があります。
詳しい変換結果を見直すには、「[偏光光線追跡] (Polarization Ray Trace)」を参照してください。
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