材質ソルブ



[モデル] (Model)

[モデル] (Model) の材質ソルブは、真のソルブよりも [変数] (Variable) の [Radius] (曲率半径)/[厚み] (Thickness) 設定と似ています。  OpticStudio では、d 線での屈折率、アッベ数、部分分散項を変更してガラスの分散を理想化することで、「モデル」ガラスが提示されます。  [材料] (Material) 列で Ctrl + Z のショートカットを使用することで、ソルブを [モデル] (Model) に設定することもできます。モデル ガラスのデータ値は、標準の最適化方法を使用して最適化できます。

制約のないガラスの最適化では、通常、屈折率が非常に大きい材質が選択されることになります。同じ光学パワーを得るために、屈折性の高い面 (境界をまたぐ屈折率の差が大きい面) の方が屈折性の低い面よりも、必要とする曲率が少ないからです。曲率の低い面の方が収差が小さくなります。 

残念ながら、屈折率の大きい材質は高価で、重たく、合成が困難であり、壊れやすく、デリケートで、キズや汚れがつきやすい可能性があります。また、非常に屈折率の大きい材質が常に存在するわけでもありません。屈折率が 1.9 を超える (可視スペクトルの) ガラスなどほとんど入手できません。アッベ数もざっと 20 ~ 80 の範囲に制限されます。このため、最適化の実行時には、屈折率とアッベ数を合理的な範囲に制限することが不可欠です。部分分散の偏差も一定の範囲内に制限する必要があります。 

合理的な制限を設けた場合でも、モデル ガラス手法のデメリットの 1 つは、最適化されたパラメータと結果の屈折率の値が、物理的に存在するガラスに対応しない可能性があることです。もう 1 つのデメリットは、分散が d 線 (.5875618 μm) で理想化されているため、モデル ガラスが十分に正確なのは可視スペクトラムにおいてのみだということです。紫外線や赤外線などの可視領域以外の波長では、モデル ガラスによる方法は正確な値が得られないため、使用しないでください。

モデル ガラスの詳細については「モデル ガラスの使用」を参照してください。

[ピックアップ] (Pickup)

ガラス ピックアップ ソルブは、他の面からの値をターゲット面のガラスとして使用します。「ソルブの制限」も参照してください。

[代替] (Substitute)

[モデル] (Model) 設定と同様に、[代替] (Substitute) 設定は真のソルブではなく、[変数] (Variable) の [曲率半径] (Radius)/[厚み] (Thickness) 設定と似ています。ガラスの [ソルブ タイプ] (Solve Type) を [代替] (Substitute) に設定すると、最適化中にグローバル最適化アルゴリズムでガラス タイプを変更することが許可されます。

カタログ名が指定されていない場合 (カタログのフィールドが空である場合)、[システム エクスプローラ] (System Explorer) の [ガラス カタログ] (Glass Catalogs) セクションで選択されているすべてのカタログからガラスが選択されます。カタログ名 (Hoya など) が指定されている場合は、その 1 つのカタログのみからガラスが選択されます。

最適化中に特定のガラスのみが選択されることを防ぐには、ガラス カタログ ダイアログ ボックスで、回避するガラスに対して [代替の対象外] (Exclude Substitution) を選択するか、ガラス代替テンプレートを使用します。詳細については、「ガラス代替の使用」を参照してください。

ガラス代替テンプレートの要件に一致するガラスがカタログに見つからなかった場合は、代替ソルブが削除されます。

[オフセット] (Offset)

オフセット ソルブでは、分散式とグラス カタログの分散データによって計算された、屈折率またはアッベ数 (あるいはその両方) の小さな変更を、屈折率に追加できます。このソルブは主に公差解析で使用されます。波長の関数として屈折率の変更を計算する場合、屈折率とアッベ数を使用する条件は次の 2 つです。

使用される最小波長が 0.3 μm より大きく、2.5 μm よりも小さい必要がある。

グラス カタログの分散データによって、波長範囲が 0.4861327 μm から 0.6562725 μm に拡大される必要がある。

これらの条件を満たしている場合、屈折率の変更は、基本屈折率 (Nd) とアッベ数 (Vd) で計算されたモデル ガラスの屈折率をオフセットの Nd および Vd 値と比較した際の差によって指定されます。モデル ガラスのプロパティの詳細については、「モデル」ガラスに関する説明を参照してください。屈折率による式は次のとおりです。

ここで関数 n() は、モデル ガラス関数です。このモデルは、波長ごとに異なる屈折率のオフセットを屈折率に追加します。前述の波長帯基準を満たしていない場合、屈折率のオフセットはすべての基本屈折率の値に追加されます。

この場合、アッベのオフセットは無視されます。

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