分布 5
分布 5 面の形状は、標準面に x 方向と y 方向の「ティルト」項を加えたものと同じです。
ここで、c は曲率 (曲率半径の逆数)、r はレンズ ユニット単位の動径座標、k はコーニック定数、さらに tan αと tan βは x 方向と y 方向のティルト角の正接です。これは、ティルトした標準面と同じ面形状ではありませんが、曲率が小さい場合、またはティルト角が小さい場合は非常に近い近似になります。分布 5 面には、以下の分布プロファイルが含まれます。
ここで、r2 =x2 + y2 が成り立ちます。最大ステップ サイズ Δt、基本屈折率 n0、および前式の残りの 6 個の係数と 2 つのティルト項の合計 10 個のパラメータが必要です。一部の係数には単位があります。
分布 5 のモデルの重要な特徴は、モデルにより媒質の分散特性の指定が可能であることです。この分散データは、ユーザー定義であり、SGRIN.DAT と呼ばれる ASCII ファイルに保存されます。SGRIN.DAT の形式については、後で簡単に説明します。
材質の名前が、分布 5 面タイプのガラス列に入力されます。ガラス列が空白の場合、分散の影響は無視されます。
光線追跡を実施するため、OpticStudio はまず前式を使用して「基準」波長における屈折率 nref を計算します。その後、セルマイヤの分散式の一般展開に基づく以下の方法を使用して、他の波長における屈折率が計算されます。
ここで、
係数 Kij と Lij は、材質の分散を定義し、パラメータ 2-8 (以下の表を参照) で指定される分布係数は、基準波長における屈折率の分布プロファイルを定義します。この非常に一般的な分散モデルでは、幅広い波長帯にわたるほとんど任意の分布屈折率分散のモデル化が可能です。パラメータ K_MAX と L_MAX は、わずか 1 項であるか、またはより正確なモデル化を行うには最大 8 項です。
分散データは、<glass> フォルダ (「[フォルダ] (Folders)」を参照) 内にある ASCII ファイル SGRIN.DAT に保存されます。
SGRIN.DAT ファイルは、それぞれが 10 行からなる複数のブロックを含みます。ファイルの形式は、次のような構造になります。
MATERIALNAME MIN_WAVELENGTH MAX_WAVELENGTH REF_WAVELENGTH K_MAX L_MAX K11 K12 K13 ...K1K_MAX K21 K22 K23 ...K2K_MAX K31 K32 K33 ...K3K_MAX L11 L12 L13 ...L1L_MAX L21 L22 L23 ...L2L_MAX L31 L32 L33 ...L3L_MAX
行間に空白のない、10 行からなる追加のブロックを順に配置していることにより、複数の材質を同じファイル内に定義することができます。供給されるファイル SGRIN.DAT は、LightPath Technologies 社により提供される一部の分布材質を説明する係数を含みます。
最大ステップ サイズΔt によって、光線追跡の計算速度と精度のトレードオフが決まります。詳細は、「GRIN 面の最大ステップ サイズの説明」を参照してください。また、「GRIN 面に続く面の制約」も参照してください。
分布 5 面のパラメータ定義
パラメータ番号 | 定義 |
1 | Δt |
2 | n0 |
3 | nr2 |
4 | nr4 |
5 | nz1 |
6 | nz2 |
7 | nz3 |
8 | nz4 |
9 | tan α |
10 | tan β |
次へ :