[暗号化したコーティング] (Encrypted Coating)





この機能は、1 つのコーティングを Zemax Encrypted Coating (ZEC) ファイルにエクスポートします。



[コーティング] (Coating) : エクスポートするコーティングの名前。

[ファイル名] (File Name) : 作成するファイルの名前。このファイル名にはパスも拡張子も指定できません。このファイルは現在のコーティング ファイルのフォルダに作成され、「ZEC」拡張子が自動的に付加されます。

[波長] (Wavelength) : 層の厚みの定義に使用する波長。光学系の温度および圧力の空気中で測定した値をミクロン単位で指定します。この値は、層の光学的厚みを絶対厚に変換するときにのみ使用します。

[絶対厚へ変換] (Convert to Absolute Thickness) : コーティング内で主波長を基準として定義した光学的厚み (たとえば 1/4 波長の厚み) を、絶対厚に変換します。セキュリティを最大限確保するには、このオプションを選択してください。コーティング定義に相対的な光学的厚みを残しておくと、エンド ユーザーが設計波長を変化させることで、暗号化したコーティング ファイルからコーティングの特性の一部が漏れる恐れがあります。主波長による厚みから絶対厚への変換には、上記で設定した波長の値を使用します。

エクスポートするコーティングの各層の厚みを絶対厚で定義している場合、[波長] (Wavelength) フィールドと [絶対厚へ変換] (Convert to Absolute Thickness) チェック ボックスの設定には何の効果もありません。

全般的な注意点

光学コーティングの設計者やメーカーは、多くの場合、コーティング設計の詳細が漏洩することを嫌います。この機能を使用すると、OpticStudio フォーマットで定義したコーティングを、暗号化された単一のファイルにエクスポートできます。コーティングを施した具体的な光学系の光線追跡や解析を実行する必要があるユーザーには、この暗号化したファイルを配布すれば、コーティング設計の詳細が明らかになることがありません。

エクスポートされるコーティング データには、コーティングの性能を正確に再現するために必要な、すべての材質、屈折率、消衰係数、分散、層のデータが含まれます。近似や数表は使用しません。ただし、テーパー状のコーティング、理想コーティング、テーブル コーティングには対応していません。エクスポートするコーティングの定義には、最大 12 種類の材料および 400 層を使用できます。

暗号化したコーティング ファイルの使用法については、コーティング ファイルに関する説明の「ENCRYPTED データ セクション」を参照してください。

この暗号化は 256 ビットのアルゴリズムに基づいています。実装した暗号化機能で目的の用途に十分なセキュリティを実現できることを必ず確認したうえで、機密性の高いデータをその暗号化フォーマットで配布します。

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