合成面

[合成] (Composite) プロパティを使用すると、ほとんどあらゆるタイプのシーケンシャル面をまとめて追加し「合成」面を作成できます。



任意の数の面をまとめて合成面に追加できます。このような面を「合成アドオン」または単に「アドオン」と呼びます。アドオン面のサグ プロファイルは、そのアドオン面に続くアドオン面のサグに加算されます。これらのサグの合計値は、アドオン面に続く最初の非合成面 (「合成ベース」または単に「ベース」と呼びます) のサグに加算されます。これにより、ベース面のプロファイルは、すべてのアドオンのプロファイル合計にベース自身のプロファイルを加算した値になります。アドオンとベースの合計によって得られる面全体を「合成スタック」または単に「合成」と呼びます。



たとえば、以下で左側に示す 2 つの面を加算することで、右側に示す合成形状を作成できます。



[合成面:次の面にサグを追加] (Composite Surface: Add sag to next surface) のボックスをチェックすることにより、該当の面を合成アドオンにすることができます。このチェックボックスをチェックして現在の面を合成面にすると、LDE でその面に続く面のサグに合成面のサグを加算できます。アドオンの行の色は薄い黄色、ベースの行の色は濃い黄色にそれぞれ変化します。合計サグはベース面に設定され、このベース面のみが光線追跡で考慮されます。最終的な形状を形成する合成アドオン面は光線と相互作用しません。合成面ではない通常の面と同様に、合成アドオンのデフォルトの半径は光線入射位置の計算に基づいて決まりますが、その値はユーザーが上書きできます。ベースにアパチャーが設定されていると、それが合成面全体のアパチャーになります。

[合成面:次の面にサグを追加] (Composite Surface: Add sag to next surface) : 面を合成アドオンにします。

[ベース面アパチャーに沿うようにティルト/ディセンタを設定] (Set Tilt/Decenter to follow Base surface aperture) : ベース面の軸外しアパチャーの中心に面が配置されるようにティルト値とディセンタ値が自動的に入力されます (以下の詳細を参照)。

[ティルトの更新] (Update Tilt) : 指定のディセンタにおける面の方向を反映するようにティルト値が自動的に更新されます (以下の詳細を参照)。

[X ディセンタ] (Decenter X) : 合成ベースを基準とした、面の X 方向ディセンタ値。

[Y ディセンタ] (Decenter Y) : 合成ベースを基準とした、面の Y 方向ディセンタ値。

[Z ディセンタ] (Decenter Z) : 合成ベースを基準とした、面の Z 方向ディセンタ値。

[X ティルト] (Tilt X) : 合成ベースを基準とした、X 軸を中心とする面のティルト値。

[Y ティルト] (Tilt Y) : 合成ベースを基準とした、Y 軸を中心とする面のティルト値。

[Z ティルト] (Tilt Z) : 合成ベースを基準とした、Z 軸を中心とする面のティルト値。

注 : 加算を可能にするためには、加算するアドオンおよびベース サグは同一座標系内に存在する必要があります。この点で、ティルト値 (存在する場合) は、常にベース面の座標系、またはディセンタ値が指定されている場合は軸外しアパチャーの中心に対して定義されます。

合成アドオン面をアパチャーの絞り面として設定できません。アドオンは、光線追跡では考慮されません。合成アドオン面のサグ プロファイルは、その合成アドオン面に続く補助アドオン面または合成ベース面のサグに加算されます。

レイアウトとシェーデッド モデルにアドオン面は表示されません。アドオンとベース面の合計によって得られる合成スタックのみが表示されます。今後のリリースで、アドオン面の視覚化ツールを実装する予定です。[Z ディセンタ] (Decenter Z) は、それぞれのアドオンの間で認識できる分離距離を定義します。上記の視覚化ツールが実装されるまで、このプロパティは灰色表示になっていて使用できません。[Z ディセンタ] (Decenter Z) によって光学系全体の長さが変化することはありません。

合成アドオン面として使用できるタイプの面であれば、合成ベースとして使用することもできます。以下に示す各面が、このような面としてサポートされています。これら以外のタイプの面には合成を指定するチェックボックスが表示されません。

サポート対象の面

  • バイコーニック面

  • バイコーニック ゼルニケ面

  • チェビシェフ多項式

  • 3 次スプライン

  • 偶数次非球面

  • 拡張非球面

  • 拡張 3 次スプライン

  • 拡張奇数次非球面

  • 拡張多項式面

  • グリッド サグ面

  • イレギュラ面

  • 奇数次非球面

  • 奇数次コサイン

  • 軸外コーニック フリーフォーム

  • 周期性

  • 多項式面

  • Q タイプ非球面

  • Q タイプ フリーフォーム

  • 放射状 NURBS

  • 標準面

  • スーパーコーニック

  • ティルト

  • トロイダル面

  • トロイダル NURBS

  • TrueFreeForm

  • ゼルニケ フリンジ サグ

  • ゼルニケ標準サグ面

  • ゼルニケ環状標準サグ

アドオン面の軸外での追加

ベースに軸外しアパチャーが定義されている場合、[ベース面アパチャーに沿うようにティルト/ディセンタを設定] (Set Tilt/Decenter to follow Base surface aperture) ボタンを使用して、ベースの軸外しアパチャーの中心に合成アドオン面を配置できます。OpticStudio では、この中心配置が実現するようなティルト値とディセンタ値が [合成] (Composite) に自動的に入力されます。ベース面のアパチャーのプロパティで指定されている頂点位置がディセンタ値と一致します。軸外しアパチャーの中心におけるベース面の方向がティルト値と一致します。既存のティルト値とディセンタ値は、これらのティルト値とディセンタ値に置き換えられます。



ディセンタが手動で指定されている場合は、[ティルトの更新] (Update Tilt) ボタンを使用して、アドオンの方向が指定のディセンタでのいずれかのベース面と一致するようにティルト値を自動的に入力できます。

複数のアドオンが存在する合成スタックでは、LDE で最も後の行にあるアドオンの [合成] (Composite) プロパティで指定されているティルトとディセンタを適用して、すべてのアドオン面がスタックされます。他のすべてのアドオン面では、[合成] (Composite) のティルトとディセンタがすべて灰色表示になります。どのアドオン面も、他のアドオン面に対して移動できないからです。今後のリリースで、この制限が撤廃される可能性があります。

現在のリリースでは [Z ディセンタ] (Decenter Z) が灰色表示になっていますが、今後のリリースでアドオン面を表示できるようになる見込みです。

合成面の使用に当たっての一般的な注釈:

レンズ データ エディタが煩雑にならないように、その右クリック メニューには、合成アドオン面を削除するオプションおよびその表示と非表示を切り替えるオプションが用意されています。



合成面自体は、光線追跡を目的として合成ベースで代表され、OpticStudio では他のあらゆる面と同様に扱われますが、合成アドオン面が光線追跡で直接考慮されるわけではありません。したがって、単一の光線追跡解析では、このような面のデータが表面化しません。同様に、光線追跡データに基づく評価関数オペランドともアドオン面は無関係です。このようなオペランドをアドオン面に指定してもゼロが返されるにすぎません。

ベース面のグローバル座標は計算され、データ一覧に表示されますが、合成アドオン面のグローバル座標は計算されません。これらの面は、上記のディセンタとティルトによってベース基準で指定された座標系に存在するからです。

アドオン面は物理的にベースを伴う面なので、アドオンとベースとの間でティルト、ディセンタ、ロールが一致していないことを想定した公差解析オペランド (TSDX、TIRY など) は、アドオンでは無効になります。

合成面は現在、[ファイル] (File) タブの [NSC グループに変換] (Convert to NSC Group) ボタンではサポートされておらず、ノンシーケンシャル システムに変換できません。

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