バイナリ 4

バイナリ オプティクス 4 の面はバイナリ オプティクス 2 および 3 の面と非常によく似ています。主な違いは、バイナリ オプティクス 4 では、サポートする同心半径ゾーンの数が可変であり、各ゾーンで半径サイズ、半径、コーニック、回折次数、多項式非球面変形データ、および回折位相データが独立しています。ゾーンの数、偶数次非球面の係数、および位相係数はすべて、最大許容数までユーザーが追加のデータ ファイルに定義できます (「[面のプロパティ] (Surface Properties)」の「[インポート] (Import)」セクションを参照)。各ゾーンには、4 つの値 (アパチャー、半径、コーニック、回折次数) に加え、可変数の偶数次非球面とバイナリ位相の係数が必要です。項の総数は Nz*(4 + Na + Np) であり、ここで Nz はゾーンの数、Na は非球面項の数、Np は位相項の数です。項の総数は 242 以下にする必要があります。Nz は 1 ~ 60、Na と Np は 0 ~ 20 の範囲で指定します。

面は複数のゾーンへと分割されます。第一ゾーンは頂点から動径座標 A1 まで、第二ゾーンは A1 から A2 まで、以下同様に最後のゾーンまで続きます。動径座標は、非球面と位相の係数をそれぞれのゾーン内で正規化するためにも使用されます。各ゾーンは前のゾーンからオフセットされるため、面のサグはゾーンの境界をまたがり連続的になります。OpticStudio では、第一ゾーンの半径アパチャーをゼロよりも大きく設定し、これに続く各ゾーンでは、前のゾーンよりも大きい半径アパチャーを設定する必要があります。

ゾーン j の面のサグは、以下の式で求められます。

c、k、αの各項はすべて、ゾーンごとに一意です。項 zo は、動径座標 Aj – 1 において現在のゾーンと前のゾーンの間の境界をまたがり面を連続的にするよう選択されるか、あるいは次式が成り立ちます。

(この計算で zj の評価する際、zo の値は一時的にゼロに設定されます)。正規化座標 p は r / Aj で求められます。

すべてのゾーンには、独立係数を含む回折位相プロファイルも備えています。ゾーン j の位相は、以下の式で求められます。

ここで Np は級数の多項式係数の数、β1i は放射開口の正規化座標ρj の 2i 乗の係数、Mj は回折次数です。

位相オフセットはサグのオフセットと同様の目的で使用でき、次の式で定義します。

(この計算で φj の評価時、δo の値は一時的にゼロに設定されます)。

最も外側のゾーンの正規化半径は、外側のゾーンの係数を正規化する半径アパチャーを定義する場合にのみ使用します。面の外側のゾーンおよび関連する位相プロファイルは、この値を超えることがあります。

この面が複数のゾーンという性質により、ゾーンの境界を交差する際の面の位相の計算時に複雑な状況が作り出されます。位相オフセット値δo を使用することにより、ゾーンの境界の前後で位相が不連続にならないようにしています。位相が数百波長にわたって不連続に変化すると、解釈と解析が困難になるので、設計や解析を目的とする場合に、この機能が必要になります。しかし、位相オフセットは人為的なものであるため、実際の設計時にはそのことを考慮する必要があります。最適な結像特性において、外側のゾーンは内側のゾーンと同位相であるものとします。この条件が成立するのは、内側ゾーンと外側ゾーンの境界での位相差が波長の整数倍となる場合です。つまり、δo = Q2π(Q は任意の整数) である場合です。境界の前後で位相の傾斜が異なっていれば、通常は Aj をわずかに変えることでこの条件を満たすことができます。この境界条件を容易に満足できるように、OpticStudio ではゾーンの境界ごとに sinδo を計算し、その値の二乗の和 (SS) をパラメータ 4 に置きます。評価関数の境界オペランド PMVA を使用して、この値の目標がゼロに設定されます。この値は、位相データから計算されるものであり、ユーザー定義ではなく可変ではないことに注意してください。

バイナリ オプティクス 4 の面のパラメータ定義

パラメータ番号 定義
1 Nz
2 Na
3 Np
4 SS sin δo
13 ゾーン 1 の半径アパチャー。
14 ゾーン 1 の曲率半径。
15 ゾーン 1 のコーニック定数。
16 ゾーン 1 の回折次数。
次の Na ゾーン 1 の非球面サグの係数。
次の Np ゾーン 1 の位相係数。
残りの項 Nz 個のグループについて、係数 4+Na+Np 個のグループでパターンが続く。

バイナリ オプティクス係数の符号の規則

符号規則については、「バイナリ1 (シーケンシャル面、レンズデータエディタ)」を参照してください。

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