バイナリ 3
バイナリ オプティクス 3 の面はバイナリ オプティクス 2 の面と非常によく似ています。主な違いは、バイナリ オプティクス 3 は、各ゾーンで独立した半径、コーニック、および多項式非球面変形データと回折位相データを備えた、2 つの同心半径ゾーンをサポートすることです。面は、A1 と A2 の 2 つの動径座標により 2 つのゾーンへと分割されます。内側の半径ゾーンは、面の中心から動径座標 A1 まで及びます。外側の半径ゾーンは、A1 からその外側へ及びます。座標 A2 を超える範囲まで面が及んでいても、動径座標 A2 を使用して、外側のゾーンの位相係数が正規化されます。オプションの「ブレーク」パラメータが 1 に設定されない限り、外側のゾーンは内側のゾーンからオフセットされるため面のサグはゾーンの境界をまたがり連続的になります。OpticStudio では、0 < A1 < A2 とする必要があります。
内側の面のサグは、以下の式で求められます。
ここで N は、以下に説明するように、ユーザーが設定できる非球面項の数です。内側のゾーンの曲率値 c1 は、レンズ データ エディタで指定される曲率半径の逆数です。内側のゾーンのコーニック定数も、レンズ データ エディタの通常のコーニック列で設定されます。異なる係数とオフセット値を含む同様の式を使用して、外側のゾーンにおける面のサグが定義されます。
項 zo は、動径座標 A1 の位置で内側領域と外側領域との境界の前後で連続的な面が得られるように選択するか、zo = z1 (A1) – z2 (A1) の不連続部分が発生するように選択します (この計算では、z2 の値を求める際に zo の値は一時的にゼロに設定されます)。外側のゾーンの曲率半径 (ここから値 c2 が計算される) と外側のゾーンのコーニックは、以下に説明するように、パラメータ データで設定されます。平坦な外側のゾーンの半径については、ゼロを使用します。
内側と外側のゾーンは両方とも、独立係数を含む回折位相プロファイルを備えています。内側のゾーンの位相は、以下の式で求められます。
ここで N は、級数の多項式係数の数、β1i は放射開口の正規化座標ρ1 の 2i 乗の係数、M1 は回折次数です。同様の式で、外側のゾーンの位相も記述できます。
位相オフセットはサグのオフセットと同様の目的で使用でき、次の式で定義します。
(この計算で Ω2 を評価する際、δo の値は一時的にゼロに設定されます)。
正規化半径 A2 は、外側のゾーンの位相係数を正規化する半径アパチャーを定義する場合にのみ使用します。面の外側のゾーンおよび関連する位相プロファイルは、この値を超えることがあります。
この面のデュアル ゾーンという性質により、ゾーンの境界を交差する際の面の位相の計算時に複雑な状況が作り出されます。位相オフセット値δo を使用することにより、ゾーンの境界の前後で位相が不連続にならないようにしています。位相が数百波長にわたって不連続に変化すると、解釈と解析が困難になるので、設計や解析を目的とする場合に、この機能が必要になります。しかし、位相オフセットは人為的なものであるため、実際の設計時にはそのことを考慮する必要があります。最適な結像特性において、外側のゾーンは内側のゾーンと同位相であるものとします。この条件が成立するのは、内側ゾーンと外側ゾーンの境界での位相差が波長の整数倍となる場合です。つまり、δo = J2π(J は任意の整数) である場合です。境界の前後で位相の傾斜が異なっていれば、通常は A1 をわずかに変えることでこの条件を満たすことができます。この境界条件を容易に満足できるように、OpticStudio では sinδo を計算してこの値をパラメータ 7 に置きます。評価関数の境界オペランド PMVA を使用して、この値の目標がゼロに設定されます。この値は、位相データから計算されるものであり、ユーザー定義ではなく可変ではないことに注意してください。
内側と外側のゾーンの間のサグの差は、2 つの面で説明されます。[ブレーク?] (Break?) パラメータを 0 に設定すると、外側のサグはローカル z 軸に沿ってシフトするため、面がゾーンの境界で連続的になります。[ブレーク?] (Break?) を 1 に設定すると、外側のサグがオフセットのないサグ式で定義され、一般的にはサグに不連続な部分が発生します。この不連続性により、OpticStudio で差し引くことができないような、OPD 計算における大規模な不連続性が生じます。
バイナリ オプティクス 3 の面のパラメータ定義
パラメータ番号 | 定義 |
1 | R2 |
2 | k2 |
3 | A1 |
4 | A2 |
5 | M1 |
6 | M2 |
7 | sin δo |
8 | ブレーク ? |
13 | 最大項数、N (最大 60) |
14、15、16、17 | 係数α11、β11、α21、β21 (N >= 1 の場合)。 |
18、19、20、21 | 係数α12、β12、α22、β22 (N >= 1 の場合)。 |
22、23、24、25、... など | N 個のグループについて、係数 4 個のグループでパターンが続く。 |
バイナリ オプティクス係数の符号の規則
符号規則については、「バイナリ1 (シーケンシャル面、レンズデータエディタ)」を参照してください。
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