[公差解析ウィザード] (Tolerance Wizard)


[公差解析ウィザード] (Tolerance Wizard) を選択すると、デフォルトの公差を定義できます。

このデフォルトの公差解析ダイアログ ボックスは、公差タイプ別にグループ化された複数のセクションから構成されます。
公差のプリセット
[ベンダー] (Vendor) 利用可能なベンダーを一覧表示します。
[グレード] (Grade) 利用可能な製造グレードを一覧表示します。この製造グレードとして、[市販] (Commercial)、[高精度] (Precision)、[超高精度] (High Precision) があります。[一般的なベンダー] (Generic vendor) には、[携帯電話用レンズ] (Cell Phone Lens) のオプションもあります。[携帯電話用レンズ] (Cell Phone Lens) のオプションは、業界の専門家が提供するデフォルト値に基づいています。
[プリセット選択] (Select Preset) 選択した公差プリセットのベンダーおよびグレード設定に基づいて、面と屈折率の公差にデータを入力します。
(注 : ほとんどの公差のプリセットでは、エレメントの公差が考慮されていません。公差解析でアセンブリの公差を考慮する必要がある場合は、エレメントの公差の値を手入力してください。)
面公差
[曲率半径] (Radius) : このボックスをチェックすると、半径のデフォルトの公差がウィザードの対象になります。このデフォルトの公差は、レンズ ユニットで表した固定距離、公称半径に対する比率 (%)、または TWAV オペランドで定義したテスト波長における屈折力のフリンジ数で指定できます。この公差は、光学パワーを持つ面にのみ設定されます。そのため、面の両面が同じ屈折率であるダミー面は除外されます。面が平面である場合は、デフォルトの公差はフリンジ数で表した変化として指定されます。別のオプションを選択していても、この設定が優先されます。
[厚み] (Thickness) : チェックすると、面の頂点間の距離ごとに厚みの公差が指定されます。厚みのすべての変動は、特定の面とそのエレメントに接している面にのみ影響を与えることが想定されているため、厚みの後の最初の空気隙間がアジャスタの役目を果たします。詳細については、「TTHI: 厚みの公差」を参照してください。
[X ディセンタ] (Decenter X)/[Y ディセンタ] (Decenter Y) : チェックすると、各レンズ面にディセンタの公差が追加されます。公差は、レンズ ユニットでの固定ディセンタ量として定義されます。OpticStudio では、標準面のディセンタに TSDX と TSDY を、非標準面のディセンタに TEDX と TEDY を使用します。
[X ティルト (TIR)] (Tilt (TIR) X)/[Y ティルト (TIR)] (Tilt (TIR) Y) : チェックすると、各レンズ面に、レンズ ユニットまたは度の単位でティルト (変動指示値の合計) の公差が追加されます。OpticStudio では、標準面のティルト (度) に TSTX と TSTY、標準面の変動指示値 (レンズ ユニット) の合計 (ティルトまたはウェッジ) に TIRX と TIRY、非標準面のティルト (度) に TETX と TETY をそれぞれ使用します。レンズ ユニットを選択した場合、TSTX/TSTY または TETX/TETY オペランドで度単位のティルトが必要とされる場合に、寸法が度単位に自動変換されます。レンズ ユニットによる変動指示値合計をティルト (度単位) に変換する式は、以下のとおりです。
S は面のクリア半径または半径を、Δy は変動指示値の合計を表します。θy も同様の式で計算します。
この式では、比較的小さな角度を想定しています。
x 方向距離の変動指示値合計は y 軸を中心にしたティルト、y 方向距離の変動指示値合計は x 軸を中心にしたティルトにそれぞれ対応しています。
[S + A イレギュラリティ] (S + A Irreg) : チェックすると、各標準面タイプで球面収差と非点収差のイレギュラリティが指定されます。詳細については、「TIRR: 面のイレギュラリティの公差」を参照してください。
[ゼルニケ イレギュラリティ] (Zernike Irregularity) : チェックすると、各標準面タイプでゼルニケ イレギュラリティが指定されます。詳細については、「TEZI: ゼルニケ標準モデルを使用した面のイレギュラリティの公差」を参照してください。デフォルトでは、ゼルニケ項 2 ~ 45 が使用されます。
エレメントの公差
[X ディセンタ] (Decenter X)/[Y ディセンタ] (Decenter Y) : チェックすると、各レンズ面にディセンタの公差が追加されます。公差は、レンズ ユニットでの固定ディセンタ量として定義できます。
[X ティルト] (Tilt X)、[Y ティルト] (Tilt Y) : チェックすると、各レンズ グループと各面に、度単位のティルトの公差が追加されます。デフォルトでは、グループにある最初の面の頂点でレンズ グループが傾くことに注意してください。それ以外の点で傾ける方法については、「TETX、TETY、TETZ: エレメントのティルトの公差」を参照してください。
[屈折率の公差] (Index tolerances)
[屈折率] (Index) : 屈折率の変化のモデル化には TIND を使用します。その単位には、相対屈折率での変化量を使用します。
[アッベ数] (Abbe) : TABB は、アッベ数の変化のモデル化に使用します。その単位には、カタログにあるアッベ数値に対する比率を使用します。
その他のコントロール
[開始行] (Start At Row) : このコントロールは、公差解析データ エディタで公差がデフォルトで記述される位置を示します。行番号が 1 より大きい場合、指定した行番号から、新しいデフォルトの公差の追加が開始されます。行番号が -1 の場合は、現在の表の最後に公差が追加されます。
[テスト波長] (Test Wavelength) : フリンジ数で表したパワーまたはイレギュラリティの測定に使用する波長 (µm)。
[フォーカス コンペンセータを使用] (Use Focus Comp) : チェックすると、後方焦点 (像面の前の厚み) のデフォルト コンペンセータが定義されます。最低 1 つのコンペンセータを使用すると、一部の公差がかなり緩くなりますが、コンペンセータを使用するかどうかは、設計の詳細に応じて決定する必要があります。これ以外のコンペンセータも定義できます。詳細については、「コンペンセータの定義」を参照してください。
[開始面] (Start At Surface)/[終了面] (Stop At Surface) : これらのコントロールは、デフォルトの公差の適用対象である面の範囲を定義します。以下の 6 つのボタンがあります。
[OK] (OK) : 以上の各設定を受け入れてデフォルトの公差を生成した後、ウィザードを閉じます。
[適用] (Apply) : 以上の各設定を受け入れてデフォルトの公差を生成します。
[保存] (Save) : 以上の各設定を、今後も使用できるように保存します。
[読み込み] (Load) : 以前に保存した設定を復元します。
[リセット] (Reset) : 各設定をデフォルトの値に復元します。
[ヘルプ] (Help) : ヘルプ システムを起動します。
デフォルトでは、OpticStudio で実行されるモンテカルロ解析で、ガウシアンの「正規」分布のランダム値が描画されます。定義したデフォルトの公差は、レンズ ファイルと一緒に自動保存されます。[レンズ データ エディタ] (Lens Data Editor) で追加の面を挿入した場合は、公差面は自動的に再番号付けされます。
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