散乱モデル
散乱モデルは確率分布関数として定義します。OpticStudio で光線を散乱させる場合は、新しい伝搬方向を選択します。その方向は、確率関数と 1 つまたは複数の乱数で決まります。多数の光線を追跡した場合、得られる散乱光線の分布が実質的に確率分布関数に近づきます。次の図は、散乱モデルの説明に使用するベクトルを定義しています。

図中の各値は次のとおりです。
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N: 光線と面との交点における面の方向を定義する法線ベクトル
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I: 入射光線ベクトル
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R: 正反射光線ベクトル
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S: 散乱光線ベクトル
N、I、R、S はすべて単位ベクトルです。
正反射光線ベクトルは、反射光線ベクトルまたは屈折光線ベクトルです。簡潔にするために、この図ではこの光線を反射光線ベクトルとしています。
面に対する正反射光線ベクトルと散乱光線ベクトルの投影を、それぞれβ0 およびβで示しています。これらの投影は単位ベクトルではありません。ベクトルβ0 の大きさは sinθr、ベクトルβの大きさは sinθS です。θr と θS は、それぞれ法線ベクトルと正反射光線が成す角度および法線ベクトルと散乱光線が成す角度です。
両方の光線ベクトルの差 (β-β0) を X で示しています。|X| がゼロに近くなるほど、散乱ベクトルと正反射ベクトルが同じベクトルになります。選択した散乱モデルに応じて、異なる方法で X が決まります。
ベクトルβ0 とβの最大の大きさは 1.0 です。一般的にこれらのベクトルの方向が同じになることはないので、ベクトル X に可能な最大の大きさは 2.0 です。ベクトル X によって、ベクトルβが投影面上の単位円に収まるようになることも必要です。
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