光線分割

一般に、光線が面に到達したときに、エネルギーの一部は反射し、一部は透過します。また、面プロパティによっては、一部は吸収されます。光線分割とは、反射経路と屈折経路を両方とも計算した後、両方の光線の追跡を継続する OpticStudio の機能です。OpticStudio では、反射経路と屈折経路を両方とも追跡する代わりに、それらのいずれかの経路をランダムに選択して追跡するオプションもサポートされています。「簡易光線分割」を参照してください。屈折性界面で反射した光線は、一般にゴースト反射と呼ばれます。

光線が分割されると、それぞれの「子」光線は、一般に別のオブジェクトに到達し、各光線は何度も分割されることがあります。光線とオブジェクトが何度も交差した後は、光線の合計数が膨大な数になることがあります。したがって、計算がいつかは終わるように、光線追跡を制御する必要があります。

発生する光線分割の量を制限する、次のようないくつかの方法があります。

光線とオブジェクトの交差の最大回数 : この制御方法では、光源の親光線から最後の光線とオブジェクトの交差まで、光線が光路に沿って別のオブジェクトと交差することができる回数を定義します。

光線セグメントの最大数 : 光線セグメントとは、ある交差から次の交差までの光線経路部分です。光源から光線が送出された場合、その光線は最初のオブジェクトまで進みます。これは 1 つのセグメントです。その光線が 2 本の光線に分割された場合、各光線は別のセグメントになります (合計 3 つのセグメントが生じる)。これらの各光線が再び分割された場合、7 本のセグメントが生じます。一般に、光線セグメントの数は、光線とオブジェクトの交差数よりも急速に増加するため、はるかに大きい値に設定する必要があります。

最小の相対光線強度 : 光線が分割されるたびに、そのエネルギーは減少します。相対光線強度とは、光線が伝播するエネルギーの中で、引き続き追跡が可能なエネルギー量の下限のことです。このパラメータは、光源からの最初の光線強度と比較すると小さな比率 (0.001 など) になります。子光線がこの相対エネルギーを下回ると、その光線が終端します。

最小の絶対光線強度 : このパラメータは、最小の相対光線強度とよく似ていますが、これは最初の強度に対して相対的な強度ではなく、光学系の光源単位で表した絶対的な強度です。これがゼロの場合、絶対光線強度のしきい値は無視されます。各光線の初期強度は、常に、光源の強度を、その光源に対する合計解析光線数で割ることにより算出されます。レイアウト プロットに描画される光線の場合でも、描画光線数は、光線の初期強度を決定するために使用されません。光源単位は、[システム] (System) の [全般] (General) ダイアログ ボックスの [単位] (Units) タブで定義されます。詳細については、「光源単位」を参照してください。

これらの設定はすべて、システム エクスプローラの [ノンシーケンシャル] (Non-sequential) で定義します。

光線分割と偏光

反射と透過率の正確な計算には偏光に関する情報が必要になるので、光線分割を使用できるのは、偏光光線追跡を実行する場合のみです。

光線分割はオフにすることができます。その場合、光線は、全反射 (TIR) する場合を除き、屈折界面で必ず透過光の光路を進みます。面がミラーの場合は、当然のことながら反射光の光路を進みます。

次の図は、光線が分割される場合に発生する可能性のある光路のいくつかを示しています。入力光線は 1 本のみを描画しています。

光線分割を使用する場合、最小の相対光線エネルギーを低く設定しすぎると、追跡する光線数が膨大になることがあります。たとえば、すべての面に 50% のコーティングを施したガラスの立方体内で追跡される光線の場合、0.01 の相対光線強度によって、256 本の光線セグメントが生成されます。相対光線強度を 1E-8 に設定した場合は、立方体内で追跡される光線ごとに、約 2 億 7,000 万本の光線セグメントが生成されてしまいます。相対的に反射性の低い光学系 (AR コーティング光学系など) では、反射光路の強度がはるかに早く低下するため、それほど多くの光線セグメントは生成されません。それでも、モデルが適切に動作するようになり、より詳細な結果が必要になるまで、光線の相対透過率を比較的高い値 (0.001 前後) に設定することをお勧めします。

光線の合計数が非常に大きくなるため、3D レイアウト プロットは、非常に複雑になることがあります。描画される光線の数を減らす 1 つの方法は、「フィルタ」文字列を使用して、一部の光線の描画を抑制することです。「フィルタ文字列」を参照してください。

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