[NSC オペランド] (NSC Operands)

ノンシーケンシャル UI モードでの光源およびディテクタを使用した最適化

照明光学系など、ノンシーケンシャル光源とディテクタを使用する光学系の最適化は、NSDC、NSDD、NSDE、NSDP および NSTR の各オペランドを使用してサポートされています。

典型的な評価関数は、3つのオペランドのグループで構成されます。

最初に、NSDD オペランドを使用して現在のディテクタ内のデータをクリアします。NSDD をディテクタ番号をゼロに設定して使用すると、すべてのディテクタ内のすべてのエネルギーがクリアされます。通常、評価関数の先頭に NSDD を 1 つ記述すれば十分です。NSDD は、ゼロの値を返し、ディテクタをクリアするために使用される場合は、評価関数値には何も影響しません。

2 番目に、NSTR オペランドを使用して NSC 光源から光線を追跡します。NSTR i は、光源 i からの解析光線を追跡します。 NSTR 0 は、すべての光源からのすべての解析光線を追跡します。追跡される光線数および NSTR オペランドの評価に要する時間は、NSC エディタ上の解析光線数で決まります。NSTR は常にゼロの値を返し、評価関数値には何も影響しません。NSTR オペランドは、分割、散乱、および偏光を使用するオプションをサポートします。

3 番目に、ディテクタ データの読み取りに NSDC、NSDD、NSDE、または NSDPいずれかのオペランドの新しいグループが使用されます。  NSDD は、surface、detector、pixel、および data の 4 つの引数を持っています。surface は、NSC グループの面番号です (プログラム モードがノンシーケンシャルの場合は 1 を使用)。detector は、ディテクタのオブジェクト番号です。ディテクタ オブジェクトとフェーセット ディテクタの両方ともディテクタとして使用できます。pixel がゼロよりも大きい正数の場合、光束、面積あたりの光束、または立体角あたりの光束がそのピクセルに対して返されます。これら 3 つのうち、どのデータを返すかは data 引数で指定します。flux、irradiance、intensity に対してそれぞれ 0、1、2 となります。ピクセルが 0 の場合、ディテクタ内のすべての光束の合計または面積あたりの光束の合計が返されます。返されるデータの単位は光学系の単位で決まります。「[解析の単位] (Analysis Units)」を参照してください。  NSDD を使用して他のデータを計算するには、以下の表で NSDD オペランドの Pix# と Data# の値の割り当てを参照してください。

Pix# Data# 出力
N 0 ピクセル N 上の光束
N 1 ピクセル N 上の面積あたり光束 (放射照度)
N 2 ピクセル N 上の立体角あたり光束 (強度)
N 3 正規化した光束
0 0 すべてのピクセルに対する位置空間での全光束
0 1 位置空間での面積あたり光束の平均値
0 2 すべてのピクセルに対する角度空間での全光束
-1 0 光束の最大値
-1 1 面積あたり光束の最大値
-1 2 立体角あたり光束の最大値
-2 0 光束の最小値
-2 1 面積あたり光束の最小値
-2 2 立体角あたり光束の最小値
-3 使用されません。 ディテクタのすべてのピクセルに到達する光線の総数
-4 0 到達した光束がゼロではないすべてのピクセルの光束データの標準偏差 (平均値からの偏差の RMS 値)
-4 1 到達した光束がゼロではないすべてのピクセルの面積あたり光束データの標準偏差 (平均値からの偏差の RMS 値)
-4 2 到達した光束がゼロではないすべてのピクセルの立体角あたり光束データの標準偏差 (平均値からの偏差の RMS 値)
-5 0 到達した光束がゼロではないすべてのピクセルの光束データの平均値。
-5 1 到達した光束がゼロではないすべてのピクセルの面積あたり光束データの平均値。
-5 2 到達した光束がゼロではないすべてのピクセルの立体角あたり光束データの平均値。
-6 0 光束データのセントロイドの x 座標
-7 0 光束データのセントロイドの y 座標
-8 0 光束データのセントロイドの z 座標
-6 1 面積あたり光束データ (放射照度) のセントロイドの x 座標
-7 1 面積あたり光束データ (放射照度) のセントロイドの y 座標
-8 1 面積あたり光束データ (放射照度) のセントロイドの z 座標
-6 2 立体角あたり光束データ (強度) のセントロイドの x 座標
-7 2 立体角あたり光束データ (強度) のセントロイドの y 座標
-8 2 立体角あたり光束データ (強度) のセントロイドの z 座標
-9 0 セントロイドを基準としたすべてのピクセルの半径方向距離の重み付き RMS。この重みは光束データに基づきます。これは、すべてのピクセルの光束データに基づいた r^2 の分散または 2 次モーメントの二乗です。
-10 0 セントロイドを基準としたすべてのピクセルの x 方向距離の重み付き RMS。この重みは光束データに基づきます。これは、すべてのピクセルの光束データに基づいた x^2 の分散または 2 次モーメントの二乗です。
-11 0 セントロイドを基準としたすべてのピクセルの y 方向距離の重み付き RMS。この重みは光束データに基づきます。これは、すべてのピクセルの光束データに基づいた y^2 の分散または 2 次モーメントの二乗です。
-12 0 セントロイドを基準としたすべてのピクセルの z 方向距離の重み付き RMS。この重みは光束データに基づきます。これは、すべてのピクセルの光束データに基づいた z^2 の分散または 2 次モーメントの二乗です。
-13 0 セントロイドを基準としたすべてのピクセルの xy 方向距離の重み付き RMS。この重みは光束データに基づきます。これは、すべてのピクセルの光束データに基づいた xy の分散または 2 次モーメントの二乗です。
-9 1 セントロイドを基準としたすべてのピクセルの半径方向距離の重み付き RMS。この重みは面積あたり光束データに基づきます。これは、すべてのピクセルの面積あたり光束データに基づいた r^2 の分散または 2 次モーメントの二乗です。
-10 1 セントロイドを基準としたすべてのピクセルの x 方向距離の重み付き RMS。この重みは面積あたり光束データに基づきます。これは、すべてのピクセルの面積あたり光束データに基づいた x^2 の分散または 2 次モーメントの二乗です。
-11 1 セントロイドを基準としたすべてのピクセルの y 方向距離の重み付き RMS。この重みは面積あたり光束データに基づきます。これは、すべてのピクセルの面積あたり光束データに基づいた y^2 の分散または 2 次モーメントの二乗です。
-12 1 セントロイドを基準としたすべてのピクセルの z 方向距離の重み付き RMS。この重みは面積あたり光束データに基づきます。これは、すべてのピクセルの面積あたり光束データに基づいた z^2 の分散または 2 次モーメントの二乗です。
-13 1 セントロイドを基準としたすべてのピクセルの xy 方向距離の重み付き RMS。この重みは面積あたり光束データに基づきます。これは、すべてのピクセルの面積あたり光束データに基づいた xy の分散または 2 次モーメントの二乗です。
-9 2 セントロイドを基準としたすべてのピクセルの半径方向距離の重み付き RMS。この重みは立体角あたり光束データに基づきます。これは、すべてのピクセルの立体角あたり光束データに基づいた r^2 の分散または 2 次モーメントの二乗です。
-10 2 セントロイドを基準としたすべてのピクセルの x 方向距離の重み付き RMS。この重みは立体角あたり光束データに基づきます。これは、すべてのピクセルの立体角あたり光束データに基づいた x^2 の分散または 2 次モーメントの二乗です。
-11 2 セントロイドを基準としたすべてのピクセルの y 方向距離の重み付き RMS。この重みは立体角あたり光束データに基づきます。これは、すべてのピクセルの立体角あたり光束データに基づいた y^2 の分散または 2 次モーメントの二乗です。
-12 2 セントロイドを基準としたすべてのピクセルの z 方向距離の重み付き RMS。この重みは立体角あたり光束データに基づきます。これは、すべてのピクセルの立体角あたり光束データに基づいた z^2 の分散または 2 次モーメントの二乗です。
-13 2 セントロイドを基準としたすべてのピクセルの xy 方向距離の重み付き RMS。この重みは立体角あたり光束データに基づきます。これは、すべてのピクセルの立体角あたり光束データに基づいた xy の分散または 2 次モーメントの二乗です。
-14 0.1 指定した空間周波数における X 方向の幾何光学的 MTF
-15 0.1 指定した空間周波数における Y 方向の幾何光学的 MTF

N は正の整数です。

Data #= 2 は、データを角度空間で記録するディテクタ (矩形) でのみ使用できます。

ピクセルのサイズはすべて同じなので、Pix# = 0、-6 ~ -13 のそれぞれで、Data# = 0 と Data# = 1 によって得られる値は等しくなります。

フェーセット ディテクタの場合、Data# には 0 または 1 のみを指定できます。

オブジェクトがフェーセット ディテクタの場合、あるいはピクセル番号が -1 または 0 の場合、data では 0 および 1 のみがサポートされます。NSDD で説明されているのと同様の機能が、NSDC を使用したコヒーレント データ、NSDE を使用したディテクタ (色) データ、NSDP を使用したディテクタ (極) データに対して存在します。

このような光学系を実際に最適化する際の困難は、検出されたエネルギーの導関数を変数パラメータを変数として計算することにあります。これは、検出されたエネルギーの計算に比較的大きな不確実性が伴うからです。照明パターンを判別するにはたくさんの光線を追跡する必要があります。

重み付き RMS 距離の式:

セントロイドを基準としたすべてのピクセルの x 方向距離の重み付き RMS は分散 x^2 の平方根です。この値は次の式に等しくなります。



ここで、

  • wi は、Data に基づくピクセルの値に等しい重みです。
  • xi はピクセルの x 座標です。
  • x* は重み付き平均値です。


セントロイドを基準としたすべてのピクセルの半径方向距離の重み付き RMS は次の式に等しくなります。



ディテクタ (矩形) の場合、すべてのピクセルのサイズが同じなので、Data = 0 と Data = 1 の場合の値は等しくなります。

乱数および NSTR に関する注釈

NSTR オペランドを使用して光線を発射する際、OpticStudio は、評価関数が評価されるたびに、乱数発生器に同一の値を設定します。これは、乱数の同一セットが評価関数のすべての評価で使用されることを意味します。光学系に変更がない場合、評価関数は必ず定数値となります。これは、最適化アルゴリズムが機能するための望ましい特性です。一方、光学系に変更がある場合、光線が異なる光路を進む可能性があるので、乱数の同一セットは散乱パスの計算などの別の用途で使用されます。

ディテクタ用のピクセル番号

さまざまなタイプのディテクタで使用されるピクセル番号付けの詳細については、「ノンシーケンシャル ディテクタ」を参照してください。

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